2023 Fiscal Year Annual Research Report
理論と観測で相補的に迫る原始惑星系円盤構造形成から惑星形成に至る新たな描像
Project/Area Number |
19K14764
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
高橋 実道 鹿児島大学, 理工学研究科, 特任研究員 (80838566)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 原始惑星系円盤 / 原始星円盤 / 惑星形成 / 星形成 / 自己重力不安定性 / 渦状腕構造 / リング構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度には、主に若い円盤の物理構造についての研究を行った。これまで星・円盤形成のシミュレーションから、円盤は形成の初期段階では自己重力的に不安定で渦状腕構造が形成されると考えられてきた。一方、ALMAの大型観測計画であるeDiskでは、19個の若いClass 0/I天体の円盤を観測したが渦状椀構造は観測されず、円盤の輝度分布に長軸に沿った非対称性が見つかった。こらの観測結果を理解するため、自己重力円盤のシミュレーションを行い、渦状腕構造が作る密度・温度分布を調べた。シミュレーション結果をもとに輻射輸送計算を行い、観測された輝度分布と比較を行った。その結果、円盤に形成される渦状腕構造はeDiskの観測ビームサイズでは分解できず、渦状腕として観測できないことを明らかにした。このことから、eDiskの結果は必ずしも円盤が安定であることを意味しないことを示した。また、円盤に1本腕構造が形成される場合や、円盤が非常に重い場合に、観測されたような輝度分布の長軸上の非対称性として観測されることを明らかにした。 また、原始惑星系円盤のダストとガスの摩擦が引き起こす重力不安定性である永年重力不安定性についての、鉛直方向の構造を考慮した安定性解析の研究も共同研究者として行っている。 本研究課題では、研究期間全体を通して円盤の詳細構造に注目して理論・観測の両面から研究を行ってきた。特に、円盤進化の初期段階で重要な自己重力に関する研究を行った。上記の、若い円盤の詳細構造の観測に基づいた自己重力不安定性の研究に加え、円盤の自己重力的な分裂の条件についての定式化の研究も行なった。また、より進化が進んだ円盤にはリング構造が観測されているが、その形成メカニズムの候補である永年重力不安定性の研究や、リング構造中のダストが重力崩壊する過程について研究も行い、自己重力的な円盤進化過程の理解を進めた。
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