2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of Gravity gradiometer for the interior structure investigation of the solar system small body
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19K14788
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
野村 麗子 国立天文台, RISE月惑星探査プロジェクト, 特任研究員 (30637690)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 重力偏差計 / 太陽系小天体 / 内部構造探査 |
Outline of Annual Research Achievements |
宇宙探査機搭載用の重力偏差計(Gravity Gradiometer; GGM)を新規研究開発することにより,従来では困難であった小天体における微小重力場分布の高空間分解観測ができるようになり,新たな科学成果を創出することが本研究の目的である.当面の科学目的は,小天体の水の有無と内部構造の解明に寄与することである.具体的には,従来式の静電アクチュエータ型ではなく,新たに磁気アクチュエータ型のGGMを実現する.これを将来の小天体探査機に搭載し,これまでにない高空間分解で良質の重力場データを取得することを目指す.
本年度は,まず光学式変位センサと磁気アクチュエータの要素試験を行い,各特性を取得した.その特性を用いてGGMのセンサ部(GGM-S)を設計・製作した.原理検証のため,6自由度のうち2自由度について疑似的な加速度を実験的に与え,加速度計測試験を行なった.この試験により,加速度計の組み合わせであるGGM-Sにおいて,加速度が設計通り計測できることが確認された.また,GGM-Sで取得した観測データをデジタル処理する電気回路部(GGM-E)の設計・製作も行なった.GGM-Eにおけるデジタルデータの処理はRaspberry PIで行う.そのプログラムを構築すれば,GGM-Sと噛み合わせることができる状態である.これらの成果をまとめて国内学会で発表を行なった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,まず光学式変位センサと磁気アクチュエータの要素試験を行い,各特性を取得した.その特性を用いてGGMのセンサ部(GGM-S)を設計・製作した.原理検証のため,6自由度のうち2自由度について疑似的な加速度を実験的に与え,加速度計測試験を行なった.GGM-Sの基準マスを,ワイヤで吊り下げることによって地球重力加速度方向に拘束し,水平並進及び回転の合計2自由度について,2面の変位センサ及びアクチュエータを用いて制御を行なった.加えた擬似加速度とGGM-Sから取得した計測加速度の誤差は最大で1.3%であった.この試験により,加速度計の組み合わせであるGGM-Sにおいて,加速度が設計通り計測できることが確認された.
また,GGM-Sで取得した観測データについて,AD変換や制御・通信デジタルを行う電気回路部(GGM-E)の設計・製作も行なった.GGM-Eにおけるデジタルデータの処理はRaspberry PIで行うため,制御プログラムを構築中である.
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Strategy for Future Research Activity |
まず,GGM-EにおけるRaspberry PIのプログラム構築を行う.その後,GGM-SとGGM-Eの噛み合わせ試験を行い,ノイズや加速度出力の精度などの性能評価を実施する.また,観測ロケット実験レベルの耐環境試験を行い,GGMの耐環境性を評価する.最終的に技術実証として,真空容器を用いた数mの落下試験または,50m落下塔を用いた落下試験を行い,微小重力環境下での性能を評価する.
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Causes of Carryover |
2019年度3月に,重力偏差計のセンサ部GGM-Sの実験を東京大学地震研究所で複数回行う予定であったが,新型コロナウイルスの影響で自宅待機が推奨されたため出張を取りやめ,主にこれまでの実験データの解析を行うこととしたため,未使用額が生じた. このため,予定していた実験は次年度に行うこととし,未使用額はその経費に充てることとしたい.
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