2022 Fiscal Year Annual Research Report
Research for understanding atmospheric momentum cycle for variation of the super-rotation in the stratosphere of Venus
Project/Area Number |
19K14789
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
神山 徹 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 研究チーム長 (40645876)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 金星 / スーパーローテーション / 惑星気象学 / 熱潮汐波 |
Outline of Annual Research Achievements |
あかつき搭載の中間赤外カメラ(LIR)は、2015年12月のあかつきの金星軌道投入から7年以上の長期にわたり安定して観測を続けており、金星大気の情報を得るのに適したデータセットを提供している。他方でこのLIRデータに観測期間を通じて見られていた観測温度のドリフト(単調増加傾向)が見られており、大気の長期変動の解析を妨げる要因となっていた。この温度ドリフトについてはLIRチーム内での議論でLIRの感度低下によるものであることが確認され、2022年度は感度低下の定量評価手法手法、また低下分を補正することで観測温度のドリフトを解消する手法の開発に成功した。 この成果にもとづき修正されたLIR画像を用い、LIRの長期解析を行ったところ、金星大気スーパーローテーションの変動と連動するような大気温度の変動が確認された。これはLee et al. (2019)で示唆された、アルベド変動に伴い東西風速、大気温度が連動して変化するという予想を支持するものであった。加えてスーパーローテーションを維持しうる運動量を輸送する熱潮汐波の振幅が、数百日周期で増減を繰り返すさまを確認した。これらはいまだ解明されていない金星大気スーパーローテーションの時間変動の要因解明に向け、大気波動が果たす役割の観点から新たな情報を提供するものと考えている。 研究期間を通じて本研究では金星大気スーパーローテーションの長期にわたる変動を観測から捉えることに注力し、その中で大気波動も同様に変化する様を見出した。波動と背景大気の相互作用が金星大気においても重要な役割を果たしうることを改めて示したものと考えている。
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