2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of a measurement system for volcanic gas compositions using an unmanned aerial vehicle
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19K14806
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
森田 雅明 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 研究員 (40805149)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 火山ガス / ドローン / 噴火 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はまず,観測システムの計画を練る上で,ドローン観測全般およびドローンによる火山ガス観測を推進している東京工業大学草津白根火山観測所および東京大学大学院理学系研究科においてディスカッションを行った。その結果を受けて,研究で使用するDJI社製のドローンMatrice 200 V2と付属品一式を選定・購入した。ドローンの操作講習会を受講し,ドローンを研究者自身で操作できるように練習を行った。ドローンに搭載する火山ガス組成観測システムについては,装置の構成を検討はしたが,残予算の都合により,必要なガス濃度計の購入は翌年度に持ち越すことにした。 東京大学保有の火山ガス組成観測システムを用いた試験観測を阿蘇山で実施した。中岳第一火口の南側噴気を対象として,SO2が90ppmを超える高濃度な火山ガスを測定することができた。得られた組成は,火口縁で実施した従来の観測手法による観測値とH2Oを除き同じ程度の値を示した。この要因は,噴煙が移流する間に水蒸気が凝縮する影響と考えられるが,詳細は今後検討が必要である。また,CO2については,装置の精度の問題で多成分と関係ないベースラインの変動が見られ,他の成分に比してやや信頼性が低い。この点,上記の装置構成の検討に活かし,精度よく測定できる濃度計を購入する予定である。翌年度以降は,この結果を受けて,各火山ガス成分の濃度計を購入し,観測システムを完成させる。完成のために,阿蘇山他で試験観測を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ドローンの購入は行えたが,ドローンに搭載する火山ガス組成観測システムについては,装置の構成を検討を行ったものの,残予算の都合により,必要なガス濃度計の購入は翌年度に持ち越すことにした。当初の計画では,初年度中にシステムを大方完成させることを予定していたが,この点やや遅れている。しかし,装置の構成を十分に検討することで,翌年度以降速やかな研究進展を計画している。 試験観測を今年度に実施できたことは,計画通り進展している部分であるので,翌年度以降順調に観測へと移行できるよう搭載装置の開発を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
まず,CO2/H2O濃度計とSO2, H2S, H2の各成分の濃度計を購入する。本予算で足りない分は,運営費や他の外部資金で補填する。これらの濃度計を組み込んだ火山ガス組成観測システムを完成させる。 完成させたシステムを用いて試験観測を実施する。試験観測は,まずドローンの練習場(茨城県古河市を予定)において,飛行試験を行う。次いで,阿蘇山において実証試験を実施する。火山活動等の状況により阿蘇山で実施できない場合は,桜島,霧島,口永良部島等の他火山での実施も検討する。 実証試験の結果を受けて,装置構成等の改善などフィードバックを行う。その際に,東京工業大学や東京大学などの研究者との議論を実施する。得られた成果をもとに,観測システムの完成を目指す。 状況により,観測を複数回行い,観測システムの調整を繰り返し行うことで,より使い勝手がよく精度の高いシステムを完成させる。ただし,新型コロナウィルスの感染拡大状況により,観測や打合せのための出張が実施できない可能性があり,この点で柔軟に対応できるよう検討しておく。
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