2020 Fiscal Year Research-status Report
急速溶融結晶化によるSn濃縮添加法を用いた直接遷移型IV族混晶創製と電子物性評価
Project/Area Number |
19K15035
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
岡 博史 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 研究員 (10828007)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ゲルマニウムスズ / フラッシュランプアニール / 固相結晶化 / CMOS / トランジスタ |
Outline of Annual Research Achievements |
ゲルマニウムスズ(GeSn)はGeに少量のSnを添加したIV族の半導体材料であり、シリコンを上回る高い電子・正孔移動度が理論的に予測されていることから、次世代の高移動度チャネル材料として期待されている。しかし、Ge中のSnの低い熱平衡固溶限(室温で1%以下)により、GeSnをチャネル材料に用いたCMOS(Complementary metal-oxide-semiconductor)トランジスタの作製には低温プロセスが要求される。これはトランジスタの性能向上を図る上で大きな制約である。
本研究では、GeSnをチャネルとするトランジスタ作製の熱処理工程の改善により、GeSnがもつ本来の優れた電子物性をトランジスタの性能として評価することを目的としている。本課題では熱処理手法としてフラッシュランプアニール(FLA)に着目し、FLAを用いた場合のGeSn中のドーパントの活性化挙動の解明とその優位性を調べた。FLAはミリ秒オーダーの瞬間的高温加熱のため、活性化アニール過程でのSnとドーパントの原子拡散抑制が期待できる。イオン注入によりGeSn層にn型ドーパントとしてPイオンを導入し、従来のRTA(Rapid thermal annealing)法とFLA法でSn原子の拡散とイオン注入ダメージの回復を系統的に評価・比較した。RTA法では500℃以上ではSn、Pともに顕著な原子拡散が見られる一方で、FLA法では最高到達温度700℃まで原子拡散がほぼ抑制されることがわかった。同時に、RTA法と比べてイオン注入ダメージの回復が大幅に促進され、トランジスタにおけるオフ電流の低減に効果的であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、GeSnをチャネルとするトランジスタ作製の熱処理手法としてフラッシュランプアニール(FLA)を提案しており、系統的な評価によりGeSnにおけるSnの拡散を抑制したドーパントの活性化に有効であることを確認できた。FLAプロセスを用いて、nチャネルトランジスタに加えてpチャネルトランジスタの動作実証と同一基板上での作製にも成功しており、本研究課題の目的であるGeSnの電子物性評価において当初の計画に沿っておおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度実施したGeSnにおける接合形成技術に加え、高品質なGeSnゲートスタックの開発にも取り組む。作製したGeSn pおよびnチャネルトランジスタの移動度解析を含めた電気特性評価を継続し、Sn添加に伴う電子物性の向上を実験的に明らかにする。
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Causes of Carryover |
本研究課題で実施している試料(トランジスタ)の作製が想定よりも順調に進行したため、今年度使用額の一部を次年度に必要となる各種分析費用に充てることとしたため。
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