2019 Fiscal Year Research-status Report
コンクリート系骨組への制振ダンパーの合理的活用法の提案とその構造性能評価法の構築
Project/Area Number |
19K15145
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Research Institution | National Institute for Land and Infrastructure Management |
Principal Investigator |
毎田 悠承 国土技術政策総合研究所, 建築研究部, 主任研究官 (10756422)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 鉄筋コンクリート骨組 / プレストレストコンクリート骨組 / ダンパー |
Outline of Annual Research Achievements |
コンクリート(C)系骨組に合理的にダンパーを活用するために,まずはC系部材へのダンパー接合方法を複数検討した。既往の研究事例調査および,ディテール検討の結果を基に,孔あき鋼板ジベルを用いた方法,バーリングシアコネクタを用いた方法,頭付きスタッドを用いた方法,PC鋼棒により圧着接合する方法の4種のディテールを対象とすることとした。柱や梁だけでなく壁部材のような断面が薄い部材にもダンパーを活用できるよう,C系部材の対象をRC造壁部材とし,ダンパー接合部の要素実験を行った。現実的な壁の断面や配筋詳細,取り付けるダンパー力を考慮して試験体を作製した。実験から,それぞれの接合方法の耐力・剛性などのデータを得た。また,実験を再現する有限要素解析を行った。ジベルにおける孔や,頭付きスタッドなどの寸法,数量,配置等のディテールをパラメータにしたパラメトリックスタディを行い,耐力・剛性などの評価法を検討した。 次いで,過去に行った筋違型摩擦ダンパー付きRCフレームの実験を再現する有限要素解析を行い,実験結果を良好に再現できる解析モデルを作製した。作製した解析モデルを基にして,ダンパーの接合方法や接合形式(方杖型・間柱型など)の違い,プレストレストコンクリート(PC)フレームにした場合など,パラメトリックスタディを行い,次年度に行う予定であるダンパーを組み込んだC系フレーム実験の事前検討を行った。この検討結果から,実験試験体を数種類に絞り込んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初,実施計画していたC系部材へのダンパー接合方法について,実験と解析により複数検討し,それぞれの耐力・剛性の評価法を得ることができた。また,当初の計画にはなかった,過去に実施した筋違型摩擦ダンパー付きRCフレームの実験を再現できる有限要素解析モデルを作製し,次年度に行うダンパーを組み込んだC系フレーム実験の事前検討を行うことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
ダンパーを組み込んだC系1層1スパン架構の実験および有限要素解析を行う。試設計された建築物を対象として実大の約1/2スケールを想定した試験体を用いる。実験パラメータは,有限要素解析モデルを用いた事前解析から,ダンパー接合形式とする。実験から,提案した接合形式でダンパーを組み込んだ構造の力学挙動を把握する。また,事前解析に用いたモデルを修正し,実験結果を精度よく再現する有限要素解析モデルを作製する。その解析モデルを基にダンパー接合形式やダンパーの種類,ダンパー量をパラメータとしたパラメトリックスタディを行い,架構におけるダンパー接合部挙動や,接合形式の違いによる制振効果の定量的評価法を検討するとともに,構造性能評価法を構築する。
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Causes of Carryover |
本年度は,要素実験試験体の製作費用を抑制するとともに,有限要素解析による検討を主としたため,次年度使用額が生じた。次年度に行う予定である,ダンパーを組み込んだC系フレームの実験では,C系フレームやダンパー,それらを接合する鋼部材など,多額の費用が必要となるため,本年度と次年度の助成金を合わせて使用する予定である。
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