2019 Fiscal Year Research-status Report
Study on Next Generation of High Precision Processing Using Ultrashort Pulse X-ray Laser
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19K15402
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Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
ヂン タンフン 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 関西光科学研究所 光量子科学研究部, 主任研究員(定常) (20744808)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 超微細加工 / 超短パルスX線レーザー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,超短パルス高強度X線を固体物質に照射する際に生じる,極短な時間(femtosecond領域)かつ微小な空間(nanometer領域)に電子が励起された非平衡状態 (Strong Electronic Excitation State, SEES) を着目し,この状態の緩和過程を解明し,エッチング等の手間がかかるプロセスを用いない直生ナノ微細造形・加工技術の開発を進める.そのために具体的な3つの課題:(1)SEESによる加工痕の構造解析,(2) 加工の物理モデルの構築,(3)加工制御と微細造形のモデル試験を並行して実施してきた. 初年度では日本のX線自由電子レーザー施設 ー SACLAの軟X線ビームライン(BL1)において,シリコン(Si)材料を中心とした実験体系を構築し,SiのL吸収端(~100 eV)付近の軟X 線による加工構造の特徴を調査した.加工の物理モデルを構築するために,本研究の協力研究者が先行に開発したX線領域の光の吸収による原子と電子の振る舞いを組み込んだ分子動力学計算コードXTANT(X-ray-induced Thermal And Non-thermal Transitions)を用いて,理論解析結を進めており,実験結果とおおむねに一致することが確認できた.また,微細加工のモデル試験に関しては,パターニング用のマスクを導入し,材用を直接加工する試験を実施した.現在パターニングの結果の解析と課題の抽出を進めている. また,上記の項目と並行し,所属研究所ではプラズマ軟X線レーザーと物質相互作用のビームラインの構築に成功した.開発したビームラインを用いて本研究の高度化や加工技術の確立などのさらなる発展に寄与していく. これらの成果はNature ResearchやThe Optical Society of America(OSA)に提供するジャーナル に掲載された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度においては,Si材料を中心とした実験体系と理論計算のモデルの構築に関する研究項目が着実に進んでいる.日本のX線自由電子レーザー施設 ー SACLAの軟X線ビームライン(BL1)において,SiのL吸収端(~100 eV)付近の軟X 線による加工構造の特徴を調査した.さらに,X線領域の光の吸収による原子と電子の振る舞いを組み込んだ分子動力学計算コードXTANT(X-ray-induced Thermal And Non-thermal Transitions)を用いた理論解析結果と比較し,おおむねに一致することが確認できた.その成果はNature Researchが提供するオープンアクセス・ジャーナル Communications Physics Vol. 2, No. 150 (2019)に掲載された.また,パターニング用のマスクを導入し,材用を直接加工する試験を実施し,現在その結果の解析と課題の抽出を進めている. また,所属研究所においてはプラズマ軟X線レーザーと物質相互作用のビームラインの構築に成功し,本研究の高度化や加工技術の確立などのさらなる発展に寄与していく.その成果がApplied Optics Vol. 59, No. 12 (2020) /に掲載された.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度においては,新型コロナウイルスが世界中で猛威をふるい、日本国内において新型コロナ対策の緊急事態宣言が発令され,社会活動の自粛が求める中,本研究の当初計画に大きな影響を及ぼすことが想定される.SACLA等のが長期的に利用できない可能性がある.このような状況において,今後の研究計画は,理論モデル構築に関する項目を中心に実施し,緊急事態宣言が解除される際にいつでも実験を再開できるように体制を準備していくことが重要になる.従って,これまでに実施した試験結果をまとめ,構築した計算物理モデルの高度化を実施する.共同利用実験施設での実験体系に関しては,直接パターニング試験の実施と定量評価がより容易にできるように高度化していく同時に.所属研究所のプラズマ軟X線レーザーを用いて実験体系の構築を進める予定である.研究の成果は年度の早期にまとめ,インパクトファクターの高いジャーナルに発表する予定である.
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Causes of Carryover |
本研究の照射試験に消耗品(照射資料やX線金属膜フィルターなど)をまとめて購入するために使用する予定である.
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Research Products
(9 results)