2020 Fiscal Year Annual Research Report
高速AFM/光ピンセット複合装置を用いた生体分子の機能動態の解明
Project/Area Number |
19K15409
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
梅田 健一 金沢大学, ナノ生命科学研究所, 特任助教 (60746915)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 高速AFM / 光ピンセット / DNA / 生体機能動態 / 外力印加 / 生体フォールディング現象 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に開発を行った長鎖ヘアピンコンカテマーを用いて実験を行い、研究計画通りに高速AFMを用いて、光ピンセットにより誘起されたヘアピン構造のアンフォールディングおよびリフォールディングを可視化することに成功した。分子は基板上に吸着しているため、その吸着力を制御することは困難であり、これら二つの現象を可視化するのは難しいと考えていたが、実験系の最適化により、本目標を達成することができた。光ピンセットトラジェクトリーの解析の結果、このアンフォールディングとリフォールディングの過渡時間はいずれも1 s程度であることが分かった。ヘアピンの内在的なフォールディング時間は30μs程度であり、これよりも3万倍程度遅く観察されることが分かった。理論計算による考察により、これは分子が基板に吸着しているために、その動きが表面拡散律速になっているためであることが分かった。また、そのおかげで時間分解能が数十msである高速AFMを用いて、そのダイナミクス可視化可能であることが分かった。 更に、予想していなかった現象として、ヘアピンの根元にあるDNAの不連続性サイトを核として、ssDNAのピーリングが生じるダイナミクスの可視化にも成功した。また、そのssDNAが再度アニーリングにより、元のdsDNAに戻る過程を可視化することにも成功した。こうした現象は宙に浮いた状態では実現可能であるが、基板に吸着した状態でも、観察できたことは予想外の結果であった。更に、ピーリングに伴いssDNAの末端がヘアピン的な二次構造を形成することも分かった。この二次構造は一つあるいは二つのボール構造をとり、時々刻々と形状を変化させることが分かった。配列から二次構造をシミュレーションしたところ、おおよそ実験結果を再現できることが分かった。このように、当初予定したよりも生体フォールディング現象に関して深い知見を得ることができた。
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Research Products
(3 results)