2019 Fiscal Year Research-status Report
Deep ultraviolet light emitting diode using h-BN ultrathin film
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19K15443
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
一ノ倉 聖 東京工業大学, 理学院, 助教 (00792566)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 六方晶窒化ホウ素 / ワイドギャップ半導体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では窒素とホウ素の層状物質である立方晶窒化ホウ素(h-BN)に着目する。h-BNは 5.8 eVという非常に大きなバンドギャップを持つ半導体である。このエネルギーは215 nmの深紫外光に対応するため殺菌光源等への応用が考えられるが、発光デバイスの作製に必要なエネルギーバンド操作の方法が確立していない。そこで、本研究では有機分子吸着やアルカリ金属インターカレーションによりh-BNのエネルギーバンド操作を目指している。 本年度はリチウムを試した。ロジウム薄膜上の単原子層h-BNにリチウムを蒸着すると、そのエネルギーバンド位置を大きく(約2 eV)シフトさえることができると明らかとなった。また、ロジウム薄膜から、表面が自然酸化したシリコン基板へ転写したh-BNの場合には0.5 eV程度シフトすることがわかった。これらのシフト量は概ねリチウムの吸着またはインターカレーションによってバンド湾曲が生じたと考えると理解できる。すなわち、バンド湾曲による操作に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リチウム蒸着によりh-BNのエネルギーバンドを再現性良く、数eVのオーダーで操作することができるとわかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
結晶構造の観察や理論計算により、リチウムが吸着しているのか、それともインターカレーションしているのかを明らかとする。また、より大きなエネルギーバンドシフトが予想されるセシウムや、逆方向へのシフトが予想される有機分子も試し、h-BNのエネルギーバンドを自在に操作することを目指す。
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Causes of Carryover |
購入予定であった赤外線導入加熱装置のデモ機の貸与を受け試用したところ、目的としていたグラフェン基板の成長を行うことができないことがわかった。代わって独自に直接通電加熱機構を構築したところ、予定よりも安価に目的を達成することができることが明らかとなり、次年度使用額が生じた。この次年度使用額は、試料の評価に用いている光電子分光装置付属の試料準備室の改良に用いる。
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