2020 Fiscal Year Research-status Report
The development of analytical method for sialylated glycans and glycoproteins by aminolysis-SALSA
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19K15597
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
花松 久寿 北海道大学, 医学研究院, 特任助教 (70734185)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 糖鎖解析 / グライコミクス / 質量分析 / シアル酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は申請者がこれまでに開発したα2,3シアル酸開環アミノリシスを基盤としたシアル酸結合様式特異的修飾法(アミノリシス-SALSA法)を応用し、1)安定同位体試薬を用いた糖鎖比較質量解析法、2)ビオチン誘導体化アミン試薬を用いた糖タンパク質の精製・濃縮法、3)マウス組織切片におけるシアル酸結合糖タンパク質の蛍光標識法の開発を目的としている。本年度は、ビオチン誘導体化アミン試薬を用いたO型糖タンパク質の精製・濃縮法の開発に取り組んだ。アミノリシス-SALSA法では様々な直鎖一級アミン類縁体によるα2,3結合シアル酸特異的な修飾が可能な点である。そこで、シアリル T 糖鎖((α2,3NeuAc)(Gal)(GalNAc))が結合している合成糖ペプチドを用いて、ビオチン誘導体化アミン試薬であるビオチン-PEG2-アミンによるα2,3シアル酸の修飾を検討した。結果、α2,3シアル酸のビオチン-PEG2-アミンによる修飾が確認できた。次に、アビジンビーズを用いた糖ペプチドの精製法について検討したところ、糖ペプチドを回収することはできたが、溶出過程でペプチド側に予期せぬ修飾が起こっていることがわかった。そこで、現在は溶出条件の詳細な検討を進めている。また本年度は、エステル化により調製したシアリル化糖鎖と直鎖型一級アミン試薬を混合し反応させることで、エステル化された α2,3シアル酸のみが分子内ラクトン環を形成し、環開裂アミノリシスにより選択的にアミド交換を行うことができるエステル-アミド交換法を開発した。本方法では、分子エネルギー計算からシアル酸の結合様式や隣接する糖の水酸基の位置の違いにより分子内ラクトンの安定性が異なることを見出し、この分子内ラクトンの安定性の違いを利用することでシアル酸結合様式だけではなく、糖鎖の分岐構造も識別できること見出し、学術論文として成果報告を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シアリル T 糖鎖((α2,3NeuAc)(Gal)(GalNAc))が結合している合成糖ペプチドを用いてビオチン誘導体化アミン試薬による糖ペプチドのα2,3シアル酸を修飾することに成功した。また、アビジンビーズを用いた糖ペプチドの精製法については、溶出条件の詳細な検討は必要ではあるが、当初の研究計画通りに進んでいる。また、新しいコンセプトに基づいた新規シアル酸結合様式特異的な修飾法(エステル-アミド交換法)の開発も新たな進捗である。
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Strategy for Future Research Activity |
ビオチン誘導体化アミン試薬を用いたシアリル化O型糖タンパク質の精製・濃縮法については溶出の最適条件を検討し、ヒト血清や培養細胞などの実サンプルを用いて本手法の有用性を評価する。また、最終年度に計画していたマウス組織切片へのアミノリシス-SALSA法の適用によるシアル酸結合糖タンパク質の蛍光標識法の開発にも取り組む。
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Causes of Carryover |
ビオチン誘導体化アミン試薬による糖ペプチドの修飾法の条件検討が想定よりも少ない条件検討で達成できたため、次年度に計画しているマウス組織切片におけるシアリル化糖タンパク質の蛍光標識法の開発に関わる試薬や消耗品の購入に充てる。
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Research Products
(8 results)
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[Presentation] 安定同位体を用いたSALSA法による比較質量分析法の開発2020
Author(s)
花松久寿, 西風隆司, 津元 裕樹, 小川浩司, 横田育子, 森川賢一, 須田剛生, 荘拓也, 中井正人, 三浦信明, 関谷禎規, 岩本慎一, 三浦ゆり, 田中 耕一, 坂本直哉, 古川潤一
Organizer
第39回日本糖質学会年会
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