2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of environmental hygiene materials for disaster using marine biomass resources
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19K15955
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Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
佐藤 洋子 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 防衛医学研究センター 医療工学研究部門, 助教 (20757017)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ホタテ貝殻由来酸化カルシウム / 海洋バイオマス資源 / 災害環境衛生材料 / 抗菌効果 / 凝集沈殿効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、災害環境衛生材料として、これまでに殺菌活性や有機リン系農薬等の吸着作用が報告され、かつ、使用時や廃棄時の環境負荷が低い海洋バイオマス資源であるホタテ貝殻焼成酸化カルシウム微粉末に着目した。本研究の目的は、汎用性の高い利用形態として分散液や凝集コロイド液の開発および、これらの抗菌作用、消臭効果、有害物質除染効果の検討を行うことである。令和元年度は主に次の研究成果を得た。 ①ホタテ貝殻焼成酸化カルシウム分散液の開発と効果検証:0.2wt%ホタテ貝殻焼成酸化カルシウム水懸濁液(pH12.55)に一定割合のリン酸塩化合物を加えると沈殿物を生じない分散液を得られることを見出した。分散液は強アルカリ性(pH12.5)を示し分散状態は1週間保たれた。クライオSEM観察でEDSマッピングを行ったところ酸化カルシウムのナノ粒子がみられた。消臭効果の検討として腐敗肉に分散液を噴射しOMX-SRMで測定したところ、強度値が1600から100以下に減少した。一般生菌、大腸菌群(ともに10^8 CFU/ml程度)への抗菌活性を調べたところ、コロニーを検出限界以下に抑えられた。研究成果はpolymers11(12)に論文発表した。 ②ホタテ貝殻焼成酸化カルシウムコロイド凝集液の開発と効果検証:0.2wt%ホタテ貝殻焼成酸化カルシウム水懸濁液に一定割合のポリリン酸ナトリウムを加えると白色のコロイド状凝集層が得られることを見出した。pHは12.2以上を示した。除去対象物質としてトリパンブルーやアルブミンなどを用い凝集沈殿の程度を検討した。このときHClでpHを調整しpHの影響も検討したところ、pH12以上で高い除去効率が得られた。一般生菌、大腸菌群への抗菌活性を調べたところpH12以上でコロニーを検出限界以下に抑えた。研究成果はmolecules24(18)に論文発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
補助事業開始時の研究実施計画では、ホタテ貝殻焼成酸化カルシウムの分散液および凝集液の①消臭効果、②殺菌効果、③有害物質無毒化効果を検討することを挙げた。1年目は①については肉片の腐敗臭の消臭効果を検討した。②については一般生菌及び大腸菌群への抗菌効果を検討した。③については無毒化効果を検討するには至っていないが凝集液においてトリパンブルーやアルブミンなどの疑似物質を用いて凝集効果を検討した。これらの研究成果は査読付き国際学術誌に2報報告することができており、計画はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
補助事業開始時の研究実施計画では、ホタテ貝殻焼成酸化カルシウムの分散液および凝集液の①消臭効果、②殺菌効果、③有害物質無毒化効果を検討することを挙げ、初年度はそれぞれにおいて研究を進めた。次年度は初年度に検討できなかった事項、すなわち①については腐敗臭以外の臭気物質の検討、②特定微生物(緑膿菌など)に対する効果検討、③農薬やエンドトキシンなどの検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
令和元年度末に投稿した研究論文の受理通知が次年度以降になったため未使用額が生じた。未使用額はその経費に充てることにしたい。
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Research Products
(5 results)