2022 Fiscal Year Annual Research Report
発情行動発現の新たな制御機構の解明:新規エストロジェン応答ペプチドに着目して
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19K15966
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
渡辺 雄貴 日本獣医生命科学大学, 応用生命科学部, 助教 (50781788)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 発情行動 / Npbwr1 |
Outline of Annual Research Achievements |
家畜の繁殖性の低下要因の一つに、微弱発情などの発情行動の異常が挙げられる。発情行動の脳内メカニズムについてはこれまで神経核全体の刺激・破壊による研究が主流であったが、その詳細については未だ不明な点が多い。本研究の目的は、哺乳類メスの発情行動発現の鍵を担う責任細胞の同定により、発情行動発現の神経内分泌メカニズムの詳細を明らかにすることである。 ヒツジやラットを用いた先行研究により、視床下部の腹内側核(VMH)が発情行動の発現には必須であること、その後のマウスを用いた研究によってVMHに発現するエストロジェン受容体アルファ(ERα)が発情行動制御に重要であることが明らかにされてきたが、ERαの下流の経路は明らかにされていない。そこで、本研究では、ERα抗体を用いたChIP-seqによりリストされたニューロペプチドB(NPB)遺伝子に着目し、NPBの受容体遺伝子であるNPBWR1のノックアウトラット作出をおこなった。ノックアウトラットの作出には、Genome-editing via Oviductal Nucleic Acids Delivery(GONAD)法を用いた。ラットNpbwr1のエクソン1領域にガイドRNAを設計し、TracrRNA、Cas9タンパク質とともに受精卵が存在する卵管膨大部に注入した。その後、エレクトロポレーションをかけ、受精卵にCRISPR/Cas9を導入した。5腹の妊娠ラットにGONAD法を実施し、合計30匹の産子が得られた。得られたすべての産子のNpbwr1配列を増幅し、DNAシーケンシングにより変異レベルを確認した。その結果、単一の20数塩基の欠損がみられた個体が7匹得られた。この7匹のうち3系統に絞り、それぞれ野生型との交配によりF1を作出した。現在は、F1同士の掛け合わせによりF2世代の作出を進めている。今後は、Npbwr1ホモノックアウトラットを用い、NPB-NPBWR1シグナリングが発情行動発現におよぼす影響を明らかにしていく予定である。
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