2023 Fiscal Year Annual Research Report
Novel therapeutic strategy for canine urothelial carcinoma: cancer elimination by anti-inflammation with BRAF inhibitor
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19K15976
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
木之下 怜平 北海道大学, 獣医学研究院, 助教 (30761150)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 犬尿路上皮がん / BRAF阻害薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
イヌ尿路上皮がん(UC)は非ステロイド系抗炎症薬に反応を示す唯一のがんである。しかし、耐性の発現やそのほかの治療の選択肢に乏しく、UCの予後改善のために新たな治療法の確立が求められている。これまでに我々は、UCが炎症の促進に関わるプロスタグランジンE2(PGE2)を大量に産生しており、UCに高率に認められるBRAF遺伝子変異がそれを制御することを世界に先駆けて明らかにした。そこで本研究では、BRAF遺伝子変異をターゲットにすることでUCの炎症環境を制御できるのではないかという考えのもと、BRAF阻害剤を用いた新たながん治療法の確立を目指すとともに、尿中のUC細胞の遺伝子発現を解析することで、生体におけるBRAF阻害がUCの炎症環境の構築にもたらす影響や、耐性機序のもととなる表現型の変化を明らかにすることを目的としている。BRAF阻害剤であるダブラフェニブのイヌに対する投与プロトコルは検討されていないが、我々はノバルティスファーマに提供依頼し、本研究でのダブラフェニブの使用を可能にした。同社の販売前安全性試験の結果から、イヌにおけるダブラフェニブの臨床的な用量が5mg/kg/日と算定し、高用量で投与した際の重要な副作用が皮膚、心血管系に起こりうることが明らかとなった。令和3年、北海道大学附属動物病院倫理審査委員会の承認を得て、同動物病院に来院したBRAF遺伝子変異陽性UCの犬7症例に対してダブラフェニブの投与を行った。臨床的有効性はPR1例、SD5例、PD1例であり、多くの症例で臨床上の改善が得られた。3例で副作用と思われる皮膚腫瘤を認めたが、投薬減量または中止が必要な症例はいなかった。また、臨床試験前および終了時に採取した尿中の腫瘍細胞からRNAの抽出を行った。
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