2020 Fiscal Year Research-status Report
Rapid evolution and species coexistence under environmental fluctuations
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19K16223
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
山道 真人 長崎大学, 熱帯医学研究所, 客員准教授 (70734804)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 迅速な進化 / 多種共存 / ストレージ効果 / 相対的非線形性 / 環境変動 / 絶滅 / 適応 / 表現型可塑性 |
Outline of Annual Research Achievements |
生物集団中の対立遺伝子頻度が短い時間スケールで変化する「迅速な進化」は、適応的な形質の変化を通じて個体群動態をはじめとするさまざまな生態学的プロセスに影響しうる。しかし、群集生態学の中心的な問いである「競争排除則にも関わらずなぜ多様な種が存在するのか」という多種共存の問題に、迅速な進化が与える影響については未解明の点が多い。 そこで本研究では、時間的・空間的な環境変動のもとで遺伝的多様性と種多様性が複雑に相互作用する動態を、数理モデル解析・数値計算・文献調査を通じて明らかにすることを目的とする。特に、Chessonの共存理論の枠組みで調べられてきた時間的・空間的な環境変動が、ストレージ効果・相対的非線形性などを介して競争排除・多種共存に与える影響を、迅速な進化を通じて捉え直すことを主眼としている。 2020年度は、Chessonの共存理論についての日本語総説を執筆し普及を図るとともに、gleanerとopportunistのトレードオフと相対的非線形性がもたらす共存についてのコメント論文を発表した。さらに、密度依存的に性的・社会的な「利己的」形質が迅速に進化することで多種共存を促進するメカニズムについての理論研究を発表した。また、適応的な採餌が相対的非線形性を介して働く共存メカニズムについての理論研究を発表した。定常環境で競争優位な種(R*が小さい種)が飽和型の非線形な機能的反応を持つことで個体数を振動させ、競争劣位な種(R*が大きい種)が線形な機能的反応によって個体数振動を安定化させる時、相対的非線形性によって2種が共存する。ここではさらに、競争劣位な種が資源量に対して迅速に適応することで個体数振動を安定化し、共存が可能になることを明らかにした。さらに、迅速な進化が生態・繁殖形質置換を介して多種共存をもたらす条件を調べ、繁殖形質置換における進化速度の重要性を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
迅速な進化・表現型可塑性が個体数振動を安定化することで、相対的非線形性を介した共存が起こることを示した数理モデル解析を論文として発表した。さらに、トレードオフと相対的非線形性についてのコメント論文を発表した。また、日本語でChessonの共存理論についての総説を執筆した。この他にも、ストレージ効果・相対的非線形性というメカニズムから、群集生態学・集団遺伝学の類似する概念を比較する総説執筆の準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
相対的非線形性だけでなく、ストレージ効果においても遺伝的多様性(と迅速な進化)が多種共存において重要な役割を果たす可能性があるため、これについても調べる予定である。さらに、相対的非線形性が遺伝的多様性を維持する条件についても、集団遺伝学モデルを構築し解析を進める。また、環境変動のもとで多様性が維持されるプロセスにおける類似性・非類似性という観点から、群集生態学・集団遺伝学における種多様性・遺伝的多様性を比較する総説執筆の準備を進めている。
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Causes of Carryover |
2020年度は新型コロナウイルス感染症の影響により、出張・研究計画に変更が生じたため、2021年度に論文掲載料、旅費、および物品購入費として使用する予定である。
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Research Products
(18 results)