2022 Fiscal Year Research-status Report
Rapid evolution and species coexistence under environmental fluctuations
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19K16223
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
山道 真人 長崎大学, 熱帯医学研究所, 客員准教授 (70734804)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 迅速な進化 / 多種共存 / ストレージ効果 / 相対的非線形性 / 環境変動 / 絶滅 / 適応 / 表現型可塑性 |
Outline of Annual Research Achievements |
生物集団中の対立遺伝子頻度が短い時間スケールで変化する「迅速な進化」は、形質の変化を通じて、個体群動態・群集構造・生態系機能といったさまざまな生態学的プロセスに影響しうる。しかし、群集生態学の中心的な問いである、「共通の資源をめぐって競争している多くの種がどのようにして安定的に共存するのか」という問題において、迅速な進化が果たす役割については未解明の点が多い。 そこで本研究では、時間的・空間的な環境変動のもとで、遺伝的多様性と種多様性が複雑に相互作用する生態-進化動態を、数理モデル解析・数値計算・文献調査を通じて明らかにすることを目的とする。特に、Chessonの共存理論の枠組みにおいて調べられてきた、時空間的な環境変動のもとでストレージ効果・相対的非線形性などの機構が競争排除・多種共存に与える影響を、迅速な進化を通じて捉え直すことを主眼としている。 2022年度は、迅速な進化によって促進される2種の安定共存の動態を、Chessonの共存理論における「ニッチ分化」と「競争能力の比」という指標から捉え直す理論研究を発表した。さらに、遺伝的なメカニズムがどのように生態-進化動態に影響しうるか、という点についての知見をまとめた。また、相対的非線形性についての短い総説論文を執筆し、時間的に変動する環境において、遺伝的多様性と種多様性がストレージ効果によってどのように維持されるか、また迅速な進化がどのようにストレージ効果を促進しうるか、という点についての理論研究を進めた。さらに、共存理論や生態-進化動態についての解説も含む群集生態学の教科書を翻訳した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
迅速な進化によって起こる2種の共存動態を、Chessonの共存理論の「ニッチ分化」と「競争能力の比」という指標から理解することを示した数理モデル論文を発表した。さらに、遺伝的なメカニズムが生態-進化動態に与えうる影響についての総説論文を執筆した。この他にも、相対的非線形性についての短い総説論文を執筆し、ストレージ効果という観点から、遺伝的多様性・種多様性の維持の類似性と相互作用についての論文執筆を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
共通の資源を介した競争だけでなく、共通の捕食者を介した「見かけの競争」においても、相対的非線形性が働いて共存が起こるという理論および、これまでの集団遺伝学であまり調べられてこなかった、相対的非線形性が遺伝的多様性を維持する条件について、数理モデルを構築し解析を進める。さらに、時間的な変動に加えて空間的な変動が加わることで、迅速な進化がもたらす効果がどのように変化するか調べる。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、予定していた出張および研究打ち合わせに支障が生じた。そのため、次年度に出張・打ち合わせを行い、それをもとに数理モデル解析・シミュレーション等を進める予定である。
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Research Products
(17 results)