2020 Fiscal Year Research-status Report
プロスタグランジンの初期発生、再生作用解明のためのゼブラフィッシュモデルの作製
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19K16354
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Research Institution | Tokyo University of Science, Yamaguchi |
Principal Investigator |
告 恭史郎 山陽小野田市立山口東京理科大学, 薬学部, 助教 (40825121)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ゼブラフィッシュ / プロスタグランジン / 脂質メディエーター / 発生 / 再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
プロスタグランジン(PG)は、生体膜リン脂質から切り出されたアラキドン酸にシクロオキシゲナーゼ(COX)が作用して産生される脂質メディエーターの総称であり、Gタンパク質共役型受容体を介して、多彩な病態・生理作用を発揮する。PGの合成阻害剤である非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、解熱・鎮痛薬として世界中で汎用されている一方、胎児の初期発生に対して様々な毒性を発揮する事が報告されている。この事から、PGは胚の初期発生に重要な役割を持つ可能性が示唆されるが、その詳細はほとんど不明である。PGの初期発生作用を解明すべく初期発生の研究の有用なツールであるゼブラフィッシュをモデル生物として、研究を行った。TELEN法によるゲノム編集によって、これまでに申請者らが同定してきたPG受容体の網羅的な欠損系統を作成し、胚発生過程における各臓器の発現を調べた結果、複数の受容体欠損系統において、臓器の形成異常が観察された。この中でもX受容体を介した腎発生機構の研究は最も進んでおり、PGの上流因子とPGの産生経路を薬理学的に同定している。現在、受容体の下流で腎発生を制御する候補因子を見出しており、それらの役割を明らかにし次第、論文投稿予定である。さらにPGと類縁の脂質メディエーターの受容体の解析にも着手しており、受容体の生化学的解析、発現プロファイルに加え、初期発生、ヒレ切断や各種薬剤誘導性臓器傷害モデルにおける再生作用について解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は、コロナウィルスの影響で、共同研究先からのトランスジェニック系統の受け入れに若干の遅延が生じたが、その間、PGと類縁の脂質メディエーターの受容体の生化学的解析、発現プロファイル、発生・再生における薬理作用の解析を進めることができたため、進捗状況は「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
初期発生における表現型を見出しているPG受容体の分子メカニズムの解明と共に、各種刺激によって誘導した組織損傷時におけるPGの再生作用の解明を進める。さらにゼブラフィッシュモデルにおいて見出されたPGの初期発生・再生作用が哺乳モデルにおいても保存されているか検証する予定である。加えて、PG以外の脂質メディエーターによる発生・再生作用も快晴予定である。
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