2019 Fiscal Year Research-status Report
幽門腺型粘液の糖鎖αGlcNAcの発現低下とがんの悪性化の分子機構の解明
Project/Area Number |
19K16555
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山ノ井 一裕 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (80464965)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | alphaGlcNAc / MUC6 / 幽門腺型粘液 / 糖鎖修飾 / 多段階発癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
子宮頸部の胃型粘液を産生する腺系腫瘍の多段階発癌過程における、alphaGlcNAcの糖鎖修飾の変化、ならびに、各症例におけるalphaGlcNAcの糖鎖修飾の有無と、患者の予後、腫瘍の再発との関連について検討した。 非腫瘍の子宮頚管腺上皮ではしばしばMUC6陽性を認めるものの、alphGlcNAcの発現を認めるものはほとんど認められなかった。ただし、前がん病変である分葉型腺管過形成(LEGH)では、ほぼ全症例において、その腺管ではMUC6とalphaGlcNAcの共発現を認め、alphGlcNAcの糖鎖修飾を伴う幽門腺型粘液が産生されていることが明らかになった。本結果より、病理診断が難しいとされるLEGHの診断には、MUC6とalphaGlcNAcの免疫染色にて共に陽性を示すことを確認することが極めて重要なことが示された。 また、LEGHから胃型腺癌へと腫瘍の悪性度が増すにつれて、alphaGlcNAcの発現が減弱することが明らかになった。さらに、胃型腺癌の症例において、alphGlcNAcの発現が残された症例と発現が消失した症例でその予後を比較したところ、前者は生存期間ならびに、無再発生存期間が後者にくらべて有意に長いことが明らかになった。同様の検討を、MUC6発現の有無で検討したが、生存期間ならびに無再発生存期間にいずれも有意差は認められなかった。子宮頸部の胃型腺癌の症例においてalphaGlcNAcの発現を免疫染色で検討することで、その症例の予後を推定できる可能性が示された。 また、alphaGlcNAcの責任遺伝子であるA4GnTのノックアウトマウスの胃の組織像についての解析を行い、同マウスの胃ではGastritis Cystica Profundaが高頻度にみられ、胃粘液におけるスルホムチンがその形成を抑制している可能性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の前半で予定していた臨床検体での検討が順調に進み、英文論文による成果発表も行った。 分子メカニズムに関する研究についても、研究が順調に進んでおり、その成果の一部が英文論文に発表されている。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床検体での検討をさらに進める。今年度は特に、胃および胆道系腫瘍に焦点を当てて解析を進める。 分子メカニズムに関する研究では、培養細胞を用いた検討を行う予定である。現在、培養細胞株を決定し、さらに、標的遺伝子のノックインおよびノックアウトを行うためのベクターやトランスフェクトのシステムについて、予備実験を含めた準備を進める予定である。
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Causes of Carryover |
試薬等の購入が予定したよりも少ない分量にて実験の遂行が可能であったため
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Analysis of A4gnt Knockout Mice Reveals an Essential Role for Gastric Sulfomucins in Preventing Gastritis Cystica Profunda.2019
Author(s)
Masatomo Kawakubo, Hitomi Komura, Yukinobu Goso, Motohiro Okumura, Yoshiko Sato, Chifumi Fujii, Masaki Miyashita, Nobuhiko Arisaka, Satoru Harumiya, Kazuhiro Yamanoi, Shigenori Yamada, Shigeru Kakuta, Hiroto Kawashima, Michiko N. Fukuda, Minoru Fukuda, Jun Nakayama
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Journal Title
Journal of Histochemistry and Cytochemistry
Volume: 67
Pages: 759-770
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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