2019 Fiscal Year Research-status Report
唾液腺導管癌のオーダーメイド医療を目指した形態学的・分子生物学的研究
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19K16568
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
平井 秀明 東京医科大学, 医学部, 助教 (00770744)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 唾液腺導管癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、唾液腺導管癌(SDC)における脂質関連蛋白の臨床病理学的意義について検討した。多施設共同研究で病理学的にSDCと診断された147例を対象とし、adipophilinとFASNに対する免疫染色を行った。Adipophilinに関しては、その発現の割合(0-100%)から症例を高発現率群(≧5%)と低発現率群(<5%)の2群に分けた。FASNに関しては、まずその発現を割合(0-100%)と強度(0-3の4段階)の2通りで評価し、さらにこれらを掛け合わせスコア化(0-300)したものを基に症例を高スコア群(≧120)と低スコア群(<120)の2群に分けた。AdipophilinとFASNともに、臨床病理学的因子をそれぞれの2群間で比較検討した。 AdipophilinとFASNともにほぼ全例で陽性所見が得られたが、それらの染色性は症例によって様々であった。Adipophilin高発現率群では、高度核異型とKi-67高標識率を示す腫瘍の比率が有意に高かった。一方、FASN高スコア群には、ARとFOXA1に高発現を示す腫瘍が多かった。多変量解析にて、adipophilin高発現は全生存率と無増悪生存率で独立した予後不良因子であった。FASNの発現は、全生存率と無増悪生存率に有意な関連性がなかった。今回の検討で、SDCではadipophilin高発現群は高異型度の組織像と高い細胞増殖能を示し予後不良であり、これらの結果は肺癌や膵癌など他臓器癌と同様であった。FASN発現は、予後との関連性はなかったが、ARおよびその関連蛋白であるFOXA1との正の相関がみられ、前立腺癌と類似した所見であった。SDCにおいて、adipophilinの発現が腫瘍の悪性度を反映し、またFASNの発現がARに関連することを初めて明らかにした。 以上の内容を国際誌に英語論文として報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度で申請書に書かれた内容の1/3程度を行い、その内容を国際誌に英語論文として報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、唾液腺導管癌における抗HER2療法およびアンドロゲン遮断療法の治療効果予測因子を引き続き探索すると共に、癌免疫微小環境の解析も併行して行う。
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Causes of Carryover |
事務用品の使用が予定より下回ったため、若干の次年度使用額が生じた。来年度以降の物品購入に当てる予定である。
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