2021 Fiscal Year Annual Research Report
唾液腺導管癌のオーダーメイド医療を目指した形態学的・分子生物学的研究
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19K16568
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
平井 秀明 東京医科大学, 医学部, 助教 (00770744)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 唾液腺導管癌 / Androgen receptor (AR) / HER2 / PD1 / PD-L1 / EZH2 / Adipophilin / FASN |
Outline of Annual Research Achievements |
唾液腺導管癌(SDC)は、高頻度で遠隔転移を生じる極めて悪性度の高い腫瘍であるが、標準的薬物治療法が確立されていない。我々は切除不能・再発転移SDCに対し抗HER2療法とアンドロゲン遮断療法の臨床試験を施行し、それぞれ高い奏効率を得た。これらの治療効果を予測するバイオマーカーの解明が望まれるが、検討した報告はなかった。また、多くの癌腫において免疫チェックポイント阻害剤の有用性が明らかになると共に、癌微小環境における炎症細胞浸潤が、癌の進展や予後、ならびに免疫チェックポイント阻害剤の治療効果と関連していることが報告されているが、唾液腺癌の領域でその基礎的な解析はほとんどなされていなかった。本研究では、新規治療を施行した症例を含むSDCの標本を用いて、病理組織学的検討、免疫組織化学的検索、および遺伝子解析を行い、抗HER2療法およびアンドロゲン遮断療法における治療効果予測因子を探索すると共に、免疫逃避分子機構の解析を行った。 抗HER2療法とアンドロゲン遮断療法の治療効果予測因子の探索では、EZH2の高発現がSDCのアンドロゲン遮断療法の効果不良予測因子となりうることを明らかにした。また脂質関連蛋白の臨床病理学的意義を解析し、adipophilinの発現がSDCの予後不良因子であることを示した。これらの結果は、SDCの治療戦略構築の一助になることが期待される。 免疫微小環境の解析では、主にPD-1とPD-L1の発現を検討し、SDCにおいてPD-L1高発現が予後不良因子であることが明らかになった。本研究成果はSDCに対する免疫チェックポイント阻害剤による治療を行う上で重要な基礎的データになり得ると考えられた。
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Research Products
(6 results)
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[Presentation] 唾液腺導管癌においてEZH2高発現は複合アンドロゲン遮断療法の効果不良予測因子になりうる2021
Author(s)
平井 秀明, 三枝 奈津季, 浦野 誠, 中黒 匡人, 佐藤 由紀子, 塚原 清彰, 加納 里志, 近藤 貴仁, 大上 研二, 小澤 宏之, 富樫 孝文, 川北 大介, 多田 雄一郎, 長尾 俊孝, SDC多施設共同研究会
Organizer
日本唾液腺学