2020 Fiscal Year Research-status Report
芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍と周辺疾患:稀少腫瘍の診断法開発と病態解明
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19K16596
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Research Institution | Japanese Foundation for Cancer Research |
Principal Investigator |
坂本 佳奈 公益財団法人がん研究会, がん研究所 分子標的病理プロジェクト, 研究員 (50778008)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(blastic plasmacytoid dendritic cell neoplasm, BPDCN)は、未分化な形質細胞様樹状細胞由来とされる稀な造血器腫瘍である。本邦では年間10~30例程度の発症がみられる。典型的には、皮膚病変で発症し当初は化学療法に反応するものの早期に再発、白血化し、生存期間中央値10~20か月程度と予後不良な疾患である。よって、有効な治療法の開発のために分子病理学的理解が求められているが、稀少性と疾患概念の確立の遅れ等から、その本態に迫る知見は乏しい。研究代表者らは、独自に全国的な協力体制を構築し、118例の検体と臨床情報を52機関から収集した。これらの検体を用いて、MYC異常の有無によりBPDCNがMYC陽性BPDCNとMYC陰性BPDCNの2群に層別化されることを発見した。しかし、さらに本態を解明するにあたり、診断基準が確立されていないことがその妨げとなっている。今回、BPDCNおよび周辺疾患の大規模症例群の病理組織学的検討により、簡便で精度が高く、実用的な診断アルゴリズムの確立を目指し、複数のアルゴリズムについて比較検討した。昨年度に引き続き、不均一性を示す症例については、免疫染色、FISH等を用いてより詳細な解析を行った。これらの検討により選別された、正確な診断が担保されたBPDCN症例群を用いて、次世代シークエンサーによる遺伝子解析を行い、病理組織学的評価と併せて検討することで、病態を詳細に解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症流行に伴う研究活動の制限や試薬供給不安定化等の影響により、当初の計画どおり解析を進めることが困難であったため。
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Strategy for Future Research Activity |
稀少疾患であるため検体の収集は容易でないが、症例集積をさらに進める。臨床病理学的解析、次世代シークエンサー等を用いた解析を引き続き詳細に行い、病態解明と結果公表を目指す。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の流行に伴う緊急事態宣言等により、研究活動の制限が生じ計画が遅れたため次年度使用額が生じた。遅延は生じたが、本来の計画に沿って次年度の解析を進める。
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