2019 Fiscal Year Research-status Report
ファージセラピーの実用化に向けた非増殖性ファージの創出
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19K16636
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
満仲 翔一 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 研究員 (10836406)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 合成生物学 / バクテリオファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、大腸菌に感染するモデルファージであるT7を用いて非増殖性ファージ創出の概念実証実験を行った。初めに、ファージの頭部遺伝子または尾部遺伝子 (群) を発現するプラスミドを構築し、大腸菌に導入した。次に、頭部遺伝子または尾部遺伝子 (群) が欠失したファージゲノムを設計・構築し、当該遺伝子を発現する大腸菌に導入した。これにより、デザイナーファージゲノムとプラスミドが共存する場合のみ機能的なファージが産生されることになる。このファージは、頭部遺伝子または尾部遺伝子 (群) が欠失したゲノムをパッケージングしており、一回限りの感染と殺菌を可能にする殺菌性非増殖性ファージである。実際に上述のアプローチによって創出したファージは、欠失した頭部もしくは尾部遺伝子を発現する大腸菌の上ではプラークを形成したが、発現しない大腸菌の上ではプラークを形成しなかった。in vitroでの機能性評価を実施したところ、野生型のファージ(改変していないオリジナルのT7)と比較して殺菌効果は弱くなるものの、今後の実験系に必要十分な殺菌性を示した。また、調べた限りにおいて、非増殖性ファージが増殖能力を再獲得したことを示すデータは得られておらず、現時点では100%の封じ込めに成功していると言える。非増殖性ファージの創出技術については特許出願した(国内出願2018-244789、国際出願PCT/JP2019/47649)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通りに進展しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
非増殖性T7ファージの機能を精査する。また、本手法はT7以外のファージにも適用できると考えられる。その他モデルファージや、自然環境から単離したファージなどを対象にして、本手法に一般性が与えられるか検証する。in vivo試験のパイロットテストも並行する予定である。
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