2021 Fiscal Year Research-status Report
ファージセラピーの実用化に向けた非増殖性ファージの創出
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19K16636
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
満仲 翔一 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 研究員 (10836406)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | バクテリオファージ / 合成生物学 / 遺伝子組換え |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は、非増殖性SP6ファージを用いたファージセラピー実験を行なった。マウスに致死量のサルモネラ属菌LT2株を腹腔内注射することで敗血症とし、その後、充分量の野生型SP6ファージ、非増殖性SP6ファージ、またはコントロールとしてLB培地を静脈注射で投与した。コントロール群は、LT2株を接種して3日後までに全てのマウスが死亡した。一方、野生型SP6ファージを投与した群では6日後の時点で25%のマウスが生存し、非増殖性SP6ファージを投与した群では62.5%のマウスが生存していた。この結果は、充分量の野生型SP6ファージまたは非増殖性SP6ファージの投与は敗血症モデル対して一定の治療効果があることを示している。また、非増殖性SP6ファージを投与したマウスから回収したファージは増殖能を示さなかった。この結果は、非増殖性SP6ファージはin vivoにおいても生物学的に封じ込められており、マウスの敗血症モデルに対する非増殖性SP6ファージの治療効果は一度限りの感染・殺菌によるものであることを示している。 非増殖性ファージの創出技術の開発からマウス敗血症モデルに対するファージセラピー実験の結果までを論文としてまとめた。現在投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験は計画通りに進んだ。当初の予定では期間内に論文受理までを目指していたが、投稿準備に想定以上に時間がかかった。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き論文受理を目指す。今後は、本研究で得られた知見やノウハウを活かして、機能性を高めた改変型かつ非増殖性のファージを創出し、様々な細菌感染症に対するファージセラピーを実施していきたい。
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Causes of Carryover |
論文受理までに必要な費用として使う予定だったが、投稿準備が想定以上に時間がかかり、期間内に使用することができなかったため、次年度に繰り越した。研究費用の使用計画に変更はなく、実験に必要な消耗品費、論文校正費や投稿費に使用する。
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