2023 Fiscal Year Annual Research Report
ファージセラピーの実用化に向けた非増殖性ファージの創出
Project/Area Number |
19K16636
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
満仲 翔一 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 特任助教 (10836406)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | バクテリオファージ / 合成生物学 |
Outline of Annual Research Achievements |
自然環境サンプルから単離したPseudomonas属菌に感染するファージA及び抗酸菌に感染するファージBを用いて非増殖性ファージの創出を試みた。初めに、特定のビリオン遺伝子を効率的に発現させるためのプロモーター配列を選定した。ファージAのビリオン遺伝子に対しては、Pseudomonas属菌の生育に大きな影響を与えなかった構成的発現プロモーターを選んだ。一方で、ファージBのビリオン遺伝子は、構成的発現プロモーターを用いて発現させると、抗酸菌の生育を著しく阻害した。そこで、構成的には発現せず、ファージゲノムを導入した際にのみ発現するプロモーターを用いた。これらのプロモーターを介してビリオン遺伝子を発現する菌株に、当該ビリオン遺伝子が欠失したデザイナーファージゲノムを導入することで、非増殖性ファージA及びBを創出した。どちらの非増殖性ファージも、野生株上ではプラークを形成せず、ビリオン遺伝子を発現する株の上でのみプラークを形成した。非増殖性ファージAに関しては、これまで増殖能の再獲得は見られておらず、100%の封じ込めに成功している。一方で非増殖性ファージBに関しては、増殖能の再獲得は確認されたが非常に低頻度(10-7~10-8程度)であった。 本研究手法は、原理的にはあらゆるファージに適用できる汎用性の高いものである。今後は細菌感染症の治療に重点をおき、必要に応じて封じ込め策を施した、治療効果を増大させた改変型ファージを創出していく。
|