2019 Fiscal Year Research-status Report
Whole genome sequencing analysis of Streptococcus pneumoniae strains to suggest the mechanism of drug resistances and serotype switch based on recombination events
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19K16637
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中野 哲志 京都大学, 医学研究科, 助教 (30794987)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 肺炎球菌 / 全ゲノム解析 / PBP typing / MLST |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は結合型肺炎球菌ワクチン導入後の薬剤耐性肺炎球菌の増加、拡散について、全ゲノム解析を用いてそのメカニズムを明らかにする試みである。本邦では2013年に13価肺炎球菌ワクチンが導入され、その結果PCV13に含まれる莢膜型による小児侵襲性肺炎球菌感染症は全体のうち10%以下に減少している。一方で本邦では広域抗菌薬であるメロペネムに対して耐性を示す肺炎球菌株の出現が問題となっている。 この耐性肺炎球菌は本邦では15A-ST63、19A-ST3111、35B-ST558、15B/C-ST83クローンから検出されることが多い。我々はこの中でも海外では比較的感受性が良く、本邦においてのみ耐性傾向が強い15A-ST63クローンの解析を行ってきた。我々の解析では同クローンはpbp1a-13およびpbp2b-JP1というPBPを持ち、これによりメロペネム耐性を獲得したと考えられ、系統樹解析によると、この耐性クローンは本邦において発生したと考えらえる。我々は現在このpbp1a-13の由来を検索している。なぜならこのpbp1a-13は海外も含め、メロペネム耐性を示す肺炎球菌に多く検出されるからである。我々は本研究において19A-ST3111クローンもpbp1a-13を持っていることが明らかにした。今後、このpbp1aの由来をさらにたどっていくことにより、耐性肺炎球菌の年月をかけた発生メカニズム、肺炎球菌遺伝子の伝播経路、メカニズムを明らかにしていく。 また、我々は本邦において検出される肺炎球菌がマクロライド系抗菌薬に対して広く耐性傾向を示すことに着目した。海外の肺炎球菌はマクロライド耐性率は20-60%程度であるが、本邦では90%を超えるからである。本研究では19A-ST3111クローンはTn2017にマクロライド耐性遺伝子を持ち、15A-ST63クローンはTn6002にマクロライド耐性遺伝子を持つことが分かった。すなわち、本邦におけるマクロライド耐性は必ずしも耐性遺伝子の水平伝播、拡散によるものではないと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年中は順調であったが、本年に入りSARS-CoV2の影響による実験遅滞が発生している。
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Strategy for Future Research Activity |
2014-2017年にかけて本邦では12F-ST4846クローンが突如出現し、急激に検出数が増加している。このクローンの出現、増加理由を全ゲノム解析を用いて明らかにする。また、まだ解析を行えていないメロペネム耐性クローンについて全ゲノム解析を行い、その耐性機構、拡散様式を明らかにする。
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Causes of Carryover |
2020年に入り新型コロナウイルス感染症による研究計画の遅滞が生じた。 2020年前期に実行予定であった研究も含めて、今後計画を実行していく。
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