2022 Fiscal Year Annual Research Report
自己免疫疾患制御へ向けた新規制御性細胞の誘導メカニズムの解明
Project/Area Number |
19K16682
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
下川 周子 国立感染症研究所, 寄生動物部, 室長 (60708569)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 免疫抑制 / 寄生虫 / 腸内細菌叢 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでにHp感染によって誘導されたCD8TregがT1Dの発症を抑制することを明らかにしており、本申請ではT1Dの発症抑制に関わるCD8Treg誘導メカニズムの全貌を明らかにするために、下記4つの観点から、Hp感染マウスの腸内環境を網羅的に解析した。1)Hp感染マウスでの腸内細菌叢の解析:Hp感染マウスと非感染マウスとでは、腸内細菌叢が大きく異なることが明らかとなった。2)Hp感染マウスの腸内細菌除去によるCD8Treg誘導への影響について:抗生物質の投与により腸内細菌をある程度除去するとCD8Tregが誘導されなかった。この結果からCD8Tregは腸内細菌によって誘導されることが示唆された。3)CD8Treg活性化に関わる腸内細菌の同定:次世代シーケンサーによる解析により、CD8Tregの増加に関与する腸内細菌Ruminococcusを同定した。4)Hp感染マウスの小腸内容物のメタボローム解析:Hp感染マウスの小腸ではトレハロースが増加していることが明らかになった。そしてそのトレハロースは、Hp自身が分泌していることが分かった。 全てをまとめると、Hp感染によるT1Dの発症抑制はHpがトレハロースを分泌することにより腸内細菌Ruminococcusが増加し、そのRuminococcusがCD8Tregを誘導していることが明らかになった。
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