2020 Fiscal Year Annual Research Report
薬剤誘導性にがん変異細胞排除を促進する細胞間コミュニケーション・シグナル
Project/Area Number |
19K16757
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
鴨下 渚 早稲田大学, 高等研究所, 研究助手 (30835814)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 細胞競合 / がん変異細胞 / 正常-変異細胞間シグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
TMTKが制御する変異細胞側での細胞非自律的なシグナル関連膜タンパク質分子の同定:TMTKによって変異細胞の硬さが亢進するが、この硬さ依存的に周辺正常細胞で誘導されてくる機能未知の膜タンパク質Xを同定した。このITIMドメインは、チロシン残基がリン酸化されることが知られており、実際にリン酸化されていることを見出した。また、このリン酸化を認識し活性化することが知られているSHP-2タンパク質に注目した。SHP-2はROCK2経路を活性化する。これまでの報告から、ROCK1/2はFilaminの集積を促進することが知られている。正常細胞でのFilaminの集積が、変異細胞の押出排除に関与するため、SHP-2およびROCK2がFilaminの集積および変異細胞の押出排除に関わるかを検討した。その結果、SHP-2およびROCK2の阻害剤処理は、Filaminの集積および変異細胞の排除効率を抑制した。これらのことから、同定した膜タンパク質Xは、SHP-2/ROCK2経路を介して、変異細胞の排除を促進していることを示してきた。さらに、同膜タンパク質Xが細胞競合現象に関与するかを、ノックアウト細胞を樹立することで検証した。正常細胞側で膜タンパク質Xをノックアウトし、野生型のRasV12変異細胞と共培養した。その結果、がん変異細胞の排除効率が統計的有意に減少した。一方で、RasV12変異細胞において、膜タンパク質Xをノックアウトしたところ、がん変異細胞の排除効率へは影響しなかった。これらのことから、膜タンパク質Xは正常細胞側で細胞競合現象に関与することが示された。これらin vitroの解析に加え、膜タンパク質Xの制御する細胞競合現象が、発がん抑制に関わるかを肺の発がんモデルにて検証した。
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