2019 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of clinical significance and metastasis mechanism of circulating tumor cells undergoing EMT in lung cancer
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19K16786
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
名部 裕介 産業医科大学, 医学部, 助教 (10813264)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 上皮間葉移行 / cell surface vimentin / 循環腫瘍細胞 / ポリマーマイクロ流路デバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
循環腫瘍細胞(CTC)のスタンダードな検出方法である“CellSearch System”はEpCAMをターゲットとしているため、上皮間葉移行(EMT)を起こしたCTC(EMT-CTC)の捕捉ができない。大永らが開発した国産のマイクロ流体チップ“CTC-chip”(Ohnaga T. Biomed Microdevices)は任意の捕捉抗体を結合させることができるため、抗EpCAM抗体だけでなく、ターゲットとなる抗体を自由に結合することで様々なタイプのCTCの検出が可能である。このシステムを用いてEMT-CTCを高感度に検出するシステム構築を本研究の目的とした。 EMTマーカーを元に上皮系性質の強い肺癌細胞株(PC-9:E-cadherin強発現、Vimentin低発現)と間葉系性質の強い肺癌細胞株(A549:E-cadherin低発現、Vimentin高発現)を使用した。抗EpCAM抗体を用いたCTC-chip(EpCAM-chip)ではPC-9の99.4%が捕捉されたが、A549は13.4%しか捕捉できず、EpCAMをターゲットとする捕捉システムでは間葉系性質の強いCTCの捕捉効率が乏しい結果であった。そのため、EMTを起こした腫瘍細胞に特異的に発現し、Cell Surface Vimentin(CSV)に注目し、抗CSV抗体を用いたCTC-chip(CSV-chip)で同様の検討を行うと、PC-9の19.5%しか捕捉されなかったのに対して、A549は46.8%が捕捉された。この結果からCSV-chipは間葉系性質の強いCTC、延いてはEMT-CTCの捕捉が可能なシステムであると考えられた。さらに、CTC-chip上で捕捉したCTCをCK、hoechst、CD45による免疫蛍光染色を行い検出するシステムも確立したため、今後、実臨床への応用が可能であると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
抗CSV抗体を用いることによりこれまで捕捉のできなかった間葉系性質の強いCTCが検出可能なシステム(CSV-chip)を構築することができた。しかし、EpCAM-chipと比較すると捕捉率が乏しいため、臨床応用の前に濃度検討、溶血や血漿交換などの前処理などの検討を行う必要があると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
進捗状況で述べた捕捉率向上の検討を行なった後に、臨床検体での検討を行なっていく。 具体的には、肺癌手術予定患者において、CSV-chipを用いて定期的(術前、術後1-3ヶ月毎)にCTCを捕捉し、術後経過と照らし合わせることにより、早期再発予測因子となり得るか評価する。また、再発し、化学療法を施行している患者においてはCTCの数と治療効果を比較することにより治療効果予測因子となり得るか評価する。さらに、従来のEpCAM-chipも併用することにより、癌転移を生じた患者において、上皮系マーカーを用いたCTCの捕捉数と間葉系マーカーを用いたCTCの捕捉数や比率の経時的な変化を見ることにより、癌の進展とEMTとの関連性を検討していく。
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