2019 Fiscal Year Research-status Report
脂質代謝を標的とした新規免疫抑制解除型治療の基盤研究
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19K16836
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
國定 勇希 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (10779416)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 制御性T細胞(Treg) / 代謝 / がん免疫 / 脂肪酸合成阻害剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 蛍光免疫組織染色によるstage毎のがん細胞における脂肪酸合成と免疫細胞の相関関係の解析 口腔がん患者の組織切片で脂肪酸合成剤FASN(Fatty acid synthase)分子,Treg,CD8T細胞,CD4T細胞などの免疫細胞を蛍光免疫組織染色し,現在解析中である. 2. 脂肪酸合成阻害剤の直接的ながん細胞への作用の解析 脂肪酸合成阻害剤(スタチン)の存在下,非存在下で,ヒト口腔がん細胞株(SAS,HSC2,3)やマウスがん細胞株(SCC7)を培養し,脂肪酸合成阻害が直接的にがん細胞の増殖能や浸潤能に影響するかどうかをin vitroの培養系で解析を行っている.がん細胞をシャーレで培養し,数の変化を経時的に観察し,増殖能の評価を行い,transwell invasion assayを用いて浸潤能の評価を行っている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度の予定であった蛍光免疫組織染色によるstageごとのがん細胞における脂肪酸合成と免疫細胞の相関関係の解析はまだ途中であるが,既に2020年度の脂肪酸合成阻害剤の直接的ながん細胞への作用の解析は開始し始めている. これはがん患者のsampleの用意にやや時間が掛かっているためである.
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度の予定であった他の脂肪酸合成阻害剤(SCD1)においても蛍光免疫組織染色を追加して行い,同時にvitro,vivoの実験を行ってく予定である. vitroの実験ではがん細胞の代謝変化を脂肪酸合成阻害剤の存在下,非存在下で2-NBDGやBODIPYなどを用いて,フローサイトメーターにより解析する予定である. また,vivoの実験系ではマウス口腔扁平上皮癌細胞株(SCC7)などのがん細胞株をC57BL/6マウス,あるいはC3Hマウスに移植し,約1週間後から脂肪酸合成阻害剤による治療を開始し,抗腫瘍効果があるかを確認する.治療後,経時的に脾臓,腫瘍所属リンパ節,腫瘍組織を回収する.それぞれの細胞を蛍光色素標識抗体(Foxp3,CD25,CD3,KLRG1,CD103など)で染色し,Tregの増減,表現型を解析する.Tregの抑制能はIL-10サイトカイン産生やCTLA-4分子などの発現を解析する.また,キラーT細胞であるCD8+ T細胞の記憶細胞形質の評価(CD44,CD62L,KLRG1)や,サイトカイン産生(IFNγ,TNFα,IL-2産生など),および糖,脂質の取り込みを同様に解析し,CD8+ T細胞の機能,代謝変化についても解析する.
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