2021 Fiscal Year Research-status Report
レム睡眠行動異常症の軽度運動機能障害に着目した神経変性疾患の早期診断法開発
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19K17015
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
山田 剛平 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (20834641)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 小字症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は主にパーキンソン病でみられる小字症に着目し、レム睡眠行動異常症を有する患者群において健常者群との違いがあるかどうかの解析を進めた。レム睡眠行動異常症(RBD)の患者19名、健常者22名を対象とし、A4サイズの用紙に書かれた一文を3回書き写す課題を実施した。今回の研究では平仮名の「の」に着目し、9個含まれた「の」の高さと幅の平均値を算出し、t検定を用いて2群間の比較を行った。また書字時の振戦の有無を線の揺らぎの有無により評価した。「の」の高さ、幅と、先行研究において磁気型センサーで記録した指タッピング運動の振幅、ドパミントランスポーターシンチグラフィーにおける線条体集積比との間に関連性がみられるか検討した。その結果、「の」の高さはRBD群において有意に低下し、指タッピング運動の振幅との間には有意な正相関がみられた。文全体において明らかな字線の揺らぎはみられなかった。「の」の高さ、幅とドパミントランスポーターシンチグラフィーにおける線条体集積比との間には有意な相関はみられなかった。以上の結果から、「の」の高さの低下は神経変性疾患の発症早期段階を示唆する軽度運動機能障害の一つである可能性、また黒質線条体ドパミン機能障害以外の神経変性を反映している可能性が示唆された。書字時の振戦は全例でみられなかったが、病期の進行とともに今後出現する可能性が想定された。問題点として「の」にほぼ限定した評価であったこと、書字速度が評価できていないこと、症例数が少ないこと、などが挙げられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた書字課題結果の解析を進めることができ、書字課題が神経変性疾患の早期診断に有用である可能性も示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、手指の運動機能評価を主にRBD患者において継続していく。
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Causes of Carryover |
新たな機材購入や謝礼金の支払いがなかったため、次年度使用額が発生しました。運動機能評価のための解析ソフトやタブレットの購入、英文校正や投稿料の支払いに充てる予定です。
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