2020 Fiscal Year Annual Research Report
抗plexinD1抗体の免疫性神経障害性疼痛マーカー確立とモデルによる病態解明
Project/Area Number |
19K17037
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤井 敬之 九州大学, 病院, 臨床助教 (30822481)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 抗Plexin D1抗体 / 神経障害性疼痛 / 自己抗体 / 小径線維ニューロパチー / 受動免疫動物モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度、国際共同研究の結果、小径線維ニューロパチー(SFN)患者の12.7%で抗Plexin D1抗体が陽性であり、対照コントロール(健常人)と比較して、有意に抗Plexin D1抗体の保有率が高いことを明らかにした。抗Plexin D1抗体陽性SFN症例の主要なIgGサブクラスはIgG2(87.5%)であった。また、抗Plexin D1抗体陽性症例における抗体価は罹病期間の長さと正の相関を示し、罹病期間を通じて、Plexin D1に対する自己抗体の親和性が増加している可能性が示唆された。さらに、抗Plexin D1抗体陽性SFN症例と陰性SFN症例における患者プロファイル解析の結果、抗体陽性SFN症例は、陰性症例と比較して、罹病期間が有意に長く、Pricking painを呈する割合が有意に高かった。また、抗Plexin D1抗体の病原性を評価するために、患者IgGを用いた受動免疫モデル動物を作成し、後根神経節における病理学的評価を行ったところ、抗Plexin D1抗体陽性患者IgGを髄腔内投与し、24時間後の機械的痛覚過敏を示したマウスにおいて、phosphorylated extracellular signal-regulated protein kinase (pERK)陽性小径ニューロンの数の有意な増加を認め、抗Plexin D1抗体が生体内において1次痛覚ニューロンの活性化を惹起している可能性が示された。 研究期間全体を通じて、抗Plexin D1抗体が、原因が明らかとなっていない一部の神経障害性疼痛疾患において新規原因自己抗体となっている可能性が示された。今後は、抗Plexin D1抗体が、神経障害性疼痛疾患において免疫治療を考慮する上での治療選択バイオマーカーとなりうるか評価するために、前向き介入研究が必要と考えられた。
|