2021 Fiscal Year Annual Research Report
重篤な精神神経症状を呈するミクログリア病(HDLS)の病態機序解明と治療法の探索
Project/Area Number |
19K17065
|
Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
扇谷 昌宏 旭川医科大学, 医学部, 講師 (60636455)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | ミクログリア |
Outline of Annual Research Achievements |
ミクログリア病とは、脳細胞の一種であるミクログリア細胞の機能異常によって引き起こされる疾患である。那須・ハコラ病やHDLS(Hereditary Diffuse Leukoencephalopathy with axonal Spheroids: 神経軸索スフェロイド形成を伴う遺伝性びまん性白質脳症)が代表的なミクログリア病として知られている。いずれも重篤な精神神経症状を呈するが、発症の機序や病態が不明であり、未だ根本的な治療法がないのが現状である。 本研究の対象疾患であるHDLSは2011年に原因遺伝子(colony stimulating factor-1 receptor, CSF1R)が同定されたミクログリア病であり、それ以前は剖検によって初めて確定に至った疾患である。初発症状は不安、抑うつ、日常生活行動の異常などの精神症状であるが、しだいに認知機能の低下が顕在化となる。進行すると運動機能障害やパーキンソン徴候、運動失調を呈する。精神症状の発現から臥床状態に至るまでの期間が約4年前後であり、急速に症状が進行することが特徴である。原因遺伝子のCSF1Rが脳内ではミクログリアに発現していること、死後脳研究においてミクログリアの形態異常が見られることから代表的なミクログリア病として認知されている。 本研究の目的は、申請者が開発した末梢血誘導型ミクログリア様細胞技術を用いて、重篤な精神神経症状を呈するミクログリア病におけるミクログリアの機能異常を細胞レベルで詳細に解析し、ミクログリア病の病態機序の解明と新規治療法の探索を行うことである。 本研究によって、HDLSのメカニズムの一端を明らかにすることができた。加えて、新規治療標的としての可能性を示唆するデータも得ることができた。現在論文作成中である。
|