2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K17330
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
生田 寿彦 神戸大学, 医学部附属病院, 特定助教 (40814588)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | PFKFB3 / endothelial cells / acute lung injury / neonatal mouse |
Outline of Annual Research Achievements |
新生児敗血症において、肺動脈血管内皮細胞における主要な解糖系律速酵素であるPFKFB3(6-phosphofructo-2-kinase/fructose-2,6-biphosphatase 3)が病態に及ぼす影響を、ヒト肺動脈血管内皮細胞、新生仔マウス(FVB/NJcl系統、4日齢)に対してPFKFB3阻害薬である3POを用いることで、in vitro、in vivoの両面で検証した。 定量的PCR、Western blottingにより、Lipopolysaccharide(LPS、Escherichia coli O111)が肺動脈血管内皮細胞及び新生仔マウス肺におけるPFKFB3の遺伝子発現、タンパクレベルを上昇させることを明らかにした。さらに肺動脈血管内皮細胞では、LPSがPFKFB3依存的にtight junctions関連分子であるClaudin 1の遺伝子発現を上昇させることを明らかにした。 LPSを投与した新生仔マウスに対するPFKFB3阻害が、LPS投与後5日間の死亡率を上昇させることを明らかにした。新生仔マウス肺の組織学的評価により、肺胞壁の肥厚やヒアリン膜の増加といった急性肺障害に特徴的な所見が、PFKFB3阻害により増悪することを明らかにした。さらに、エバンスブルーを用いた肺血管透過性評価により、PFKFB3阻害が肺血管透過性を亢進させることを明らかにした。 以上の結果から、当初の仮説と異なり、LPS投与により肺動脈血管内皮細胞で発現上昇するPFKFB3が、肺血管透過性維持に寄与することで、LPSを投与した新生仔マウスにおいて防御的に作用する可能性があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の仮説と異なり、LPSを投与した新生仔マウスにおいて、PFKFB3阻害は死亡率を上昇させることが明らかになったが、一方で、LPS投与により肺血管内皮細胞で発現上昇するPFKFB3が、血管透過性維持に寄与することで、LPSを投与した新生仔マウスにおいて防御的に作用するという新たな仮説に至った。
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Strategy for Future Research Activity |
LPS投与により肺血管内皮細胞で発現上昇するPFKFB3が、血管透過性維持に寄与することで、LPSを投与した新生仔マウスにおいて防御的に作用するという新たな仮説のもと、新生仔マウスを用いたin vivo解析を行う。具体的には、蛍光免疫組織染色により新生仔マウス肺におけるClaudin 1の分布を観察すること等を予定している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス流行の影響で年度末の研究活動を一部制限した影響で実支出額が減少したため、次年度使用額とした。 今後、本研究課題を遂行するために、消耗品費として細胞実験に使用する器具及び試薬の費用、動物実験に使用する野生型FVBマウスの購入費、Real time-PCR、Western blotting、免疫組織染色等の各種解析に必要な器具及び試薬の費用、Lipopolysaccharideや 3PO等の薬剤の費用を計上した。研究に関連する諸会議で使用する費用、研究に関連する文献の購入費用を計上した。また、研究成果に関しては周産期新生児学会もしくは新生児成育学会等の国内学会で随時報告した後、米国小児科学会議等の国際学会で報告することを予定しており、その旅費を計上した。また、学会誌投稿料も計上した。
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