2022 Fiscal Year Research-status Report
食物アレルギー早期寛解治療の開発に向けた皮膚バリア機能・炎症・掻痒との相関解析
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19K17365
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
杉本 真弓 徳島大学, 病院, 講師 (20771314)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 食物アレルギー / アトピー性皮膚炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
遷延する食物アレルギーの要因として、アトピー性皮膚炎の存在が報告されており、一旦食物アレルギーを発症した場合でも、アトピー性皮膚炎に対して積極的な治療を行うことで食物アレルギーの重症化・遷延化を阻止し早期寛解へ導ける可能性が示唆される。しかし、食物アレルギー患者における皮膚状態を多角的かつ経時的に評価した報告は乏しく、食物アレルギーの臨床像との関連も明らかではない。本研究は、食物アレルギーの重症化・遷延化予防の観点から、食物アレルギー患者における皮膚バリア機能・炎症・掻痒と、食物アレルギーの重症度・予後との関連を解明することで食物アレルギーの重症化・遷延へのアトピー性皮膚炎の関与を明らかにすることを目的としたものである。 登録症例は39例であった。登録時におけるアトピー性皮膚炎の有無、SCORAD score、経皮水分蒸散量(TEWL)、血清TARC 、ペリオスチン、IL-31、皮膚角層NGFと、食物経口負荷試験での負荷量(蛋白量)とAnaphylaxis scoring Aichi(ASCA)を用いた誘発症状重症度を示すTS/Proとの関連を検討した。SCORAD scoreと血清TARCにおいて、TS/Proと正の相関を認めた。次に、登録1年後における経皮水分蒸散量(TEWL)、血清TARC 、ペリオスチン、IL-31、皮膚角層NGFと、登録1年後の摂取状況との関連について検討を行ったところ、血清TARCと血清IL-31において正の相関を認めた。 また、登録時および登録1年後の食物抗原特異的免疫グロブリンの測定を実施し、登録時のSCORAD score高値すなわちアトピー性皮膚炎の重症度が高い症例ほど抗原特異的IgEが高値である傾向を認めた。抗原特異的免疫グロブリンと皮膚バリア機能・炎症・掻痒の各バイオマーカーとの関連については検討を進めている段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響もあり、新規の患者登録や経口負荷試験を想定通りのペースで実施することが困難となった。患者登録者数の確保のための登録期間を延長したが、最終的な症例登録数は目標を下回った。生体試料採取の完了に遅延が生じたため、バイオマーカー等の測定およびデータ解析にも遅延が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間を延長し、食物抗原特異的免疫グロブリンとSCORAD SCORE、TEWL、血清TARC 、ペリオスチン、IL-31、皮膚角層NGFとの関連についての解析を行う。これにより、アトピー性皮膚炎を有する食物アレルギー児における食物抗原特異的免疫応答とアトピー性皮膚炎の重症度ならびに皮膚バリア機能・炎症・掻痒の指標となる各バイオマーカーとの関連を明らかにする。
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Causes of Carryover |
症例登録期間の延長に伴い、生体試料の採取の完了が遅れた影響もあり、予定していた研究内容のうち、一部の食物抗原特異的免疫グロブリン測定およびデータ解析を完了出来なかった。そのため、研究期間を次年度まで延長して研究を継続することとなり、次年度使用額が生じた。食物抗原特異的免疫グロブリン測定に必要な試薬の購入や研究成果の発表・公表のために使用する予定である。
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