2019 Fiscal Year Research-status Report
Tandem mass spectrometry-based creatinine measurement using dried blood spot for newborn mass screening.
Project/Area Number |
19K17371
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
中野 優 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (10813579)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | マススクリーニング / 新生児 / 腎不全 / 液体クロマトグラフィー |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は研究の初年度であり、研究計画の立案、調整を行った。研究対象として愛知県での新生児を対象とすること、ついてはその検体として愛知県で行っている新生児マススクリーニング事業の検体を用いることについて了解を取るなど、主に実際の測定についての環境整備に費やした。 具体的にはまず愛知県、名古屋市との会議を繰り返し行い、スクリーニングのみならず、二次精査方法についても確立した。検査結果の取り扱いについては、第三者機関への委託を行った。二次精査については各専門医療機関で行ったいただくため、各施設の了解を取った。名古屋市立大学医学系研究倫理委員会に研究計画書を提出し、2019年12月に承認をいただいた(管理番号60-19-0162)。 本研究計画について、2020年1月に開かれた愛知県、名古屋市合同の先天性代謝異常等検査精度管理委員会に諮った。本委員会では、まず施設を絞っての測定を行って、測定精度や基準値を確認するという形で、部分的な承認をいただいた。 合わせて実験系についても調整を行なった。液体クロマトグラフィーでのろ紙血クレアチニン測定精度については、我々の報告した論文で確認済ではあったが、実際に測定を行う愛知県健康づくり振興事業団でも測定を行った。本研究で必要とされるクレアチニン濃度において、その精度に問題がないことを確認した。また本試薬(クレアチニンの同位体)が既存のマススクリーニング測定物に影響を与えないことも確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度は研究の初年度であ流ため、研究実績の概要とほぼ同じ内容となる。 研究計画の立案、調整を行った。研究対象として愛知県での新生児を対象とすること、ついてはその検体として愛知県で行っている新生児マススクリーニング事業の検体を用いることについて了解を取るなど、主に実際の測定についての環境整備に費やした。 具体的にはまず愛知県、名古屋市との会議を繰り返し行い、スクリーニングのみならず、二次精査方法についても確立した。検査結果の取り扱いについては、第三者機関への委託を行った。二次精査については各専門医療機関で行ったいただくため、各施設の了解を取った。名古屋市立大学医学系研究倫理委員会に研究計画書を提出し、2019年12月に承認をいただいた(管理番号60-19-0162)。 本研究計画について、2020年1月に開かれた愛知県、名古屋市合同の先天性代謝異常等検査精度管理委員会に諮った。本委員会では、まず施設を絞っての測定を行って、測定精度や基準値を確認するという形で、部分的な承認をいただいた。 合わせて実験系についても調整を行なった。液体クロマトグラフィーでのろ紙血クレアチニン測定精度については、我々の報告した論文で確認済ではあったが、実際に測定を行う愛知県健康づくり振興事業団でも測定を行った。本研究で必要とされるクレアチニン濃度において、その精度に問題がないことを確認した。また本試薬(クレアチニンの同位体)が既存のマススクリーニング測定物に影響を与えないことも確認した。 当初の研究計画通り、2020年度からの測定が可能な状態となり、2020年度の測定開始を目指して広報活動を予定していた。しかし新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言のため、広報活動が行えていない状態である。少数検体では精度調整などが困難なため、実際の測定開始時期を遅らせて対応することとしている。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究の測定系はすでに確立しているが、広報の段階で緊急事態宣言もあり広報活動が十分に行えていない。実際の検体採取については2020年10月から行いたいと考えている。ただその前に広報活動を行うことが必要であるため、緊急事態宣言など社会情勢との勘案となる。測定開始から1年で10000検体の採取を目標とする。基準値作成までは、我々の既報のカットオフ値を暫定的カットオフ値として運用する。測定数が10,000 検体に達したところで、スクリーニングに耐えうる基準値とカットオフ値を確定する。ガイドラインでは、カットオフ値については、疾患の背景に応じて±4-6SD で設定することとなっている。疫学的には小児腎不全患者(腎生検機能半分以下)の発生数は10万人に3人程度とされている。今回はその10倍程度の陽性率に調整する予定である。 カットオフ値ができた段階で愛知県、名古屋市合同の先天性代謝異常等検査精度管理委員会に再度全県でのスクリーニングを依頼する。その後は新たなカットオフ値をもとに2022年度までスクリーニングを継続する。その一方で実際に陽性患者が出た場合は二次精査を行う。二次精査で実際に腎疾患の発見に繋がっているかを検討する。二次精査対象患者については、長期的なフォローアップも行う。 2022年度には集計したデータをもとに学会発表を行っていく。国内外の学会で報告し、論文化する予定である。 またある程度の症例数を集めることができると、本スクリーニングをクリアしながら腎不全症例となるケースが出る可能性がある。これについては偽陰性例としてカウントする。最終的に本検査の感度、特異度をかくにんして、最終的なカットオフ値としたい。
|
Causes of Carryover |
昨年度は研究計画の作成、研究体制の確立、広報を軸に予定していた。前2つに関しては試薬などの物品が必要経費であり、これは予定通りであった。しかしコロナの影響があり広報活動を全く行うことができなかった。昨年度に計上していた予算の多くは、広報のための交通費や同意書などの送付に使う通信費であったため、これらを使用することがなかった。 本年度はこれらの広報活動と検体送付、結果報告による通信費、また実際の測定を行う愛知健康作り振興事業団への委託費、結果を保管する予定である株式会社データセレクト社への委託料がかかる。これらを昨年度、本年度に分割して計上していたが、上記の事情で本年度のまとめて使用することとなったため、次年度使用額が生じる結果となった。
|