2021 Fiscal Year Annual Research Report
肥満関連大腸発がんにおけるTET2の関与~代謝と大腸発がんを繋ぐ分子機序の解明~
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19K17389
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
今 孝志 山形大学, 医学部, 客員研究員 (10829740)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | TET2 / 5-hmC / 大腸癌 / 肥満 / メタボリックシンドローム |
Outline of Annual Research Achievements |
肥満やメタボリックシンドロームの増加に伴って本邦では大腸癌が増加しています。我々は、この肥満に関連した大腸癌の発生機序を明らかにすることで、この大腸がんの増加に歯止めをかけ、また有効な治療や予防法を開発することを目指しています。最近、細胞内のエネルギーセンサーとされるAMPKを介して、TET2という蛋白がDNAの翻訳後修飾を制御することで、発癌を促進させることが報告されました。したがって、肥満、メタボリックシンドロームで変化する代謝に応じた大腸発癌に、TET2が深く関与している可能性が考えられます。そこで本研究では、肥満関連大腸発がん機序におけるTET2の役割を明らかにすることを目的としました。 TET2は5-メチルシトシンを酸化し、5-ヒドロキシシトシン(5-hmC)へ変換させることで、DNAの脱メチル化に関わっていることが知られています。肥満関連大腸癌を調べたところ、非肥満の大腸癌に比べて腫瘍部の5-hmCやTET2が低下していました。肥満で変化する代表的な代謝因子であるインスリン、グルコース、脂肪酸を大腸癌の細胞株へ投与して、細胞の増殖活性やTET2がどのように変化するかを調べました。インスリンとグルコースによる刺激は増殖活性を上げ、TET2の発現を低下させましたが、脂肪酸では影響を受けませんでした。またRNA干渉と呼ばれる方法でTET2の発現を強制的に抑制すると、細胞増殖活性が上昇しました。一方、薬剤により細胞内のエネルギーセンサーであるAMPKを誘導することで、TET2の低下や細胞増殖活性が抑制されました。 これらの結果から、肥満関連大腸発がんにAMPK-TET2という新しい経路がかかわっていることが考えられ、これは新しい診断マーカーや治療標的になる可能性があります。さらに検討を続け、大腸がんを征圧に向けた探索を続けたいと思います。
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[Presentation] Insulin and glucose altered AMPK-TET2-5hmC axis toward on the obesity-related colorectal cancer development2021
Author(s)
Takashi Kon, Yu Sasaki, Yasuhiko Abe, Yusuke Onozato, Makoto Yagi, Naoko Mizumoto, Takayuki Sakai, Matsuki Umehara, Minamin Ito, Ayumi Koseki, Yoshiyuki Ueno
Organizer
DDW 2021
Int'l Joint Research
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