2019 Fiscal Year Research-status Report
炎症性腸疾患における補体の影響の解明と新規抗補体薬の有効性
Project/Area Number |
19K17440
|
Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
高住 美香 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (10836331)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 補体 / レクチン経路 / 第二経路 / MASP-2 / sMAP / FH |
Outline of Annual Research Achievements |
炎症性腸疾患は原因不明の難治性疾患である。近年、患者数が増加しており、新たな治療法の開発が求められている。一方、補体経路はC3の活性化により病原体を排除する自然免疫機構であるが、過剰な活性化が様々な疾患と関連することが明らかとなっている。補体活性化経路には古典経路、レクチン経路、第二経路の3経路が存在しており、炎症性腸疾患においては特にレクチン経路と第二経路の関連が示唆されている。本研究では、レクチン経路、第二経路がそれぞれ単独に欠損されたマウスを用いて炎症性腸疾患モデルマウスを作成し、その病態に対するレクチン経路、第二経路それぞれの関与を解明する。さらに、申請者はレクチン経路の活性化を阻害するsMAP-Ig、レクチン経路と第二経路の両方を阻害するsMAP-FHの2種類の新規抗補体薬を開発しており、これら抗補体薬の炎症性腸疾患モデルマウスでの有効性を検証する。抗補体薬はこれまでの薬剤とは異なる作用機序を有し、既存の治療に不応であった症例に対して有効性が期待されている。本研究により、炎症性腸疾患に関する新たな病態の解明と有効な治療法の創出が期待できる。 本年度は、安定供給が得られたレクチン経路単独欠損マウス(MASP-1欠損C57BL/6マウス)を用いて、DSSを含む水を飲用させた腸炎モデルマウスの作成を行った。同時に、野生型のC57BL/6マウスでもDSS腸炎モデル を作成し、レクチン経路単独欠損マウスとの比較検討を行なっている。また、マウスに投与するための抗補体薬であるsMAP-IgとsMAP-FHは、現在量産を行なっている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DSS腸炎モデルマウスの条件検討が進み、レクチン経路欠損マウスと野生型マウスでの比較検討ができている。 また、抗補体薬として投与する予定であるタンパクの量産も順調に進んでいるため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、レクチン経路単独ノックアウトマウスに加え、第二経路単独ノックアウトマウスでも腸炎モデルマウスを作成し、病態を解明したいと考えている。ただ、第二経路ノックアウトマウスは発生上の問題で低体重の個体が多く、腸炎モデル作成に耐えうるマウスが得られた場合のみ実験を行う予定である。 また、並行して抗補体薬sMAP-Ig(レクチン経路阻害)、sMAP-FH(レクチン経路と第二経路を阻害)を腸炎モデルマウスに投与し、病態の改善が得られるかを検証する。
|
Causes of Carryover |
本年度はモデルマウスの作成の条件検討を行った。より資金が必要であるのはモデルマウスの解析であり、解析は次年度以降に行うため。
|