2021 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性腸疾患における補体の影響の解明と新規抗補体薬の有効性
Project/Area Number |
19K17440
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
高住 美香 福島県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (10836331)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 補体 / レクチン経路 / 第二経路 / sMAP |
Outline of Annual Research Achievements |
炎症性腸疾患において、病態に補体の活性化が関連していることは知られており、近年、特 にレクチン経路と第二経路との関連が注目されている。本研究は、炎症性腸疾患における補体経路(レクチン経路、第二経路)の関与を検証し、新規抗補体薬であるsMAP-Ig(レクチン経路阻害)とsMAP-FH(レクチン経路・第二経路阻害)の有効性を検証することを目的とした。まず、野生型とMASP-1 ノックアウトマウス(レクチン経路ノックアウトマウス)でDSS内服による炎症性腸疾患モデルを作成した。その結果、野生型とMasp-1ノックアウトマウスでの病態に違いは認められなかった。次に、野生型マウスで炎症性腸疾患モデルを作成し、治療薬としてsMAP-IgとsMAP-FHをそれぞれ投与した。レクチン経路と第二経路の両方を阻害するsMAP-FHでは病態の改善効果は認められなかったが、レクチン経路のみを阻害するsMAP-Ig投与マウスではDAI(Disease activity index)、病理組織学的スコアの改善が認められた。MASP-1ノックアウトマウス群と野生型マウスへのsMAP-FH投与群では、病態の改善効果が認められなかった。補体を過剰に抑制してしまうことは、自然免疫機構としての補体の本来の働きまで抑制する。補体の過剰な活性化は炎症性腸疾患の病態を増悪させるが、逆に過剰な抑制も悪影響であると考えられた。補体レクチン経路の抑制と炎症性腸疾患の病態の改善に関する機構については今後さらに解明していく必要があるが、上記の結果から、補体レクチン経路は炎症性腸疾患の治療のターゲットとなる可能性が示された。
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