2020 Fiscal Year Research-status Report
患者心筋線維芽細胞を用いた拘束型心筋症の病態解明と新たな治療ターゲットの同定
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19K17561
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石田 秀和 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (50467552)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 拘束型心筋症 / 心筋線維芽細胞 / 心筋細胞 / RNA-seq |
Outline of Annual Research Achievements |
1.全エクソンシークエンスによる遺伝学的背景の把握:これまで小児期発症拘束型心筋症(RCM)の12例で全エクソンシークエンスの解析が終了し、うち8例で病原性のある遺伝子バリアントを同定できた。全てTNNI3遺伝子のミスセンスバリアントであった。 2.RCM患者心筋線維芽細胞からのiPS細胞樹立と心筋細胞への分化誘導:上記のうちTNNI3変異を認めた患者からiPS細胞の樹立に成功した。また、そのiPS細胞から心筋細胞への分化誘導にも成功した。現在、CRISPR/Casを用いた系で遺伝子修復したisogenic iPS細胞ラインを作成中である。 3.RCM患者由来心筋線維芽細胞と心筋細胞の網羅的発現プロファイリングとcell physiology解析; 4.心筋線維芽細胞と心筋細胞の細胞間相互作用解析:RCM患者由来心筋線維芽細胞は基本的なcell physiologyは健常と変わらないものの、正常心筋細胞と共培養すると、その拡張能を有意に増悪させることを明らかにした。またRNA-seq解析を行い、RCM心筋線維芽細胞の遺伝子発現プロファイルは健常のものと著しく異なることを明らかにした。さらにその結果から、心筋細胞へ作用して拡張能を増悪させる可能性のある因子の候補を同定した。これは、Circ J. 2021 Feb 13. doi: 10.1253/circj.CJ-20-1008.にて発表した。また、原子間力顕微鏡解析ではRCM心筋線維芽細胞は細胞の弾性、粘性、流動性が変化していることを同定した。これは論文投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画のうち、かなりの部分で多くの成果を得ることができており、すでに論文発表まで到達し、さらに複数の論文が現在投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
病的心筋線維芽細胞が心筋細胞に及ぼす影響の具体的メカニズムやiPS細胞由来心筋細胞の解析をすすめる。
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Research Products
(2 results)