2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K17623
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
永井 礼子 北海道大学, 大学病院, 医員 (10622160)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 肺動脈性肺高血圧症 / ドラッグデリバリーシステム |
Outline of Annual Research Achievements |
肺動脈性肺高血圧症の新規治療薬として薬剤Xを候補とした。この理由として、薬剤Xを同量投与した場合、健常者の肺動脈平滑筋細胞では細胞増殖が保たれるが、肺動脈性肺高血圧症患者の肺動脈平滑筋細胞においては細胞増殖能が抑制され、さらにアポトーシス細胞を増加させることが判明したことが挙げられる。次に、候補薬剤Xを効率的に肺動脈平滑筋細胞へ封入するための、ナノカプセル作製を実施した。ある比率で2種類の脂質を組み合わせたリポソームに薬剤Xを封入し、さらにある修飾因子を付与することで、ヒト肺動脈平滑筋細胞内に、薬剤X封入ナノカプセルが容易に到達できるようになった。次に、培養したヒト肺動脈平滑筋細胞に薬剤X封入ナノカプセルを投与し、その増殖能に与える影響を検討した。その結果、さまざまに検討した中でとある組成で作製された薬剤X封入ナノカプセルは、薬剤Xを単独で投与する場合と比較して、肺動脈性肺高血圧症患者の肺動脈平滑筋細胞の増殖を有意に抑制することが明らかになった。また、この薬剤X封入ナノカプセルは、健常者の肺動脈平滑筋細胞および肺動脈内皮細胞の増殖には影響を与えなかった。次に、肺動脈性肺高血圧症モデルラットを作製し、薬剤X封入ナノカプセル投与群、コントロールナノカプセル投与群、非投与群の3群に分けて心臓カテーテル検査を行ったところ、薬剤X封入ナノカプセル投与群では他の2群と比較して、右室圧低下およびFulton index(右室重量と左室および心室中隔重量の比)の改善を認めた。今後、各群の肺病理像を評価し、薬剤X封入ナノカプセルの、肺動脈性肺高血圧症治療薬としての有効性をさらに検証することとしている。
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