2021 Fiscal Year Annual Research Report
薬剤性過敏症症候群発症後にヒトヘルペスウイルス6の持続感染をきたした症例の検討
Project/Area Number |
19K17811
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
西村 友紀 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (90812420)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 薬剤性過敏症症候群 / DIHS / ヒトヘルペスウイルス6 / 再活性化 / 持続感染 / 自己免疫疾患 / 合併症 |
Outline of Annual Research Achievements |
重症薬疹の一つである薬剤性過敏症症候群(DIHS)は、その経過中にヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)の再活性化を生じ、症状の再燃や重症化と関連することが知られている。HHV-6はDIHSの病態形成に大きく関わると予想されるが、病態への関わりや再活性化後のHHV-6の動態については不明な点が多い。これまでにわれわれは、DIHSの症状軽快後もHHV-6の持続感染を生じている症例が少なからず存在することを明らかにしてきた。本研究では、DIHS後のHHV-6持続感染例について臨床的、免疫学的解析を行い、HHV-6持続感染のメカニズムの解明、診断・治療への応用を目指している。 当科では過去11年間にDIHSと診断した41例中11例でHHV-6の持続感染を認めており、HHV-6持続感染例と一過性感染例を比較したところ、持続感染例では①急性期の皮膚粘膜症状が重症、②HHV-6およびサイトメガロウイルスDNA量のピーク値が高値、③急性期のIL-4、IL-5、急性期および慢性期の可溶性IL-2受容体が高値、④間質性腎炎、関節炎、甲状腺炎、脳炎といった慢性の自己免疫性疾患の合併率が高く、HHV-6持続感染はDIHS急性期の重症度およびDIHS後の慢性自己免疫性疾患の発症と関連していることが明らかとなった。次にHHV-6持続感染のメカニズムを解明するために、持続感染例におけるHHV-6の局在についての解析を行ったところ、CD4陽性セントラルメモリーT細胞中にHHV-6が存在することが明らかとなった。最終年度は、引き続き持続感染メカニズムの解明のためシングルセル解析を行ったところ持続感染群ではDIHS急性期に単球/マクロファージ分画が十分に誘導されないことが判明した。持続感染例では抗ウイルス免疫における自然免疫応答が不十分であり、このことによりHHV-6の持続感染を生じる可能性が示唆された。
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