2019 Fiscal Year Research-status Report
中枢神経原発悪性リンパ腫の発症を支持する脳内免疫環境細胞の同定
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19K17820
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
服部 圭一朗 筑波大学, 附属病院, 病院助教 (10832024)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 中枢神経原発悪性リンパ腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
中枢神経系原発悪性リンパ腫(Primary central nervous system lymphoma: PCNSL)は脳内に原発する悪性リンパ腫である。PCNSLの腫瘍組織の特殊な免疫環境について解析し、予後予測や新薬開発につながるバイオマーカーを同定すべく、RNAシークエンス解析を中心に研究を行っている。 まずはNBDCヒトデータベースにアップロードされているPCNSLのRNAシークエンスのデータを使用し解析を行った。こちらは東京大学大学院医学系研究科細胞情報学分野が30症例のPCNSL資料から抽出したRNAに対するシークエンスのFASTQファイルである(NBDC Research ID: hum0017.v1)。解析ソフトウエアであるCLC genomic workbenchを利用してFASTQファイルから遺伝子発現データを抽出し、続いてNewmanらの開発した、各細胞腫の構成比を推定する手法であるCIBERSORTを使用して免疫細胞の分画を確認した。症例毎にB細胞、T細胞の比率は異なっており、今後は免疫細胞の分画の違いや遺伝子変異プロファイルと臨床予後との関与について解析を行うことを目標としている。臨床データの取り寄せについて、原著論文の著者の先生方に相談しており、現在当院の倫理委員会に申請をし承認待ちの状態である。 続いて、新規核酸定量システムnCounterを使用してこれまでに当科で採取した40症例のサンプルに対してRNA定量解析を行い、各種遺伝子発現のレベルを確認した。並行して各症例の臨床データ(遺伝子変異プロファイル、パフォーマンスステータス、診断時の意識レベル、臨床予後など)を収集しており、今後はnCounterの解析ソフトであるnSolverを用いて、各種遺伝子の発現量と、全生存期間、無増悪生存期間、との関与について確認を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当院保管の中枢神経原発悪性リンパ腫の保存サンプルからRNAを抽出し、それらを利用したRNA解析を行った。すでに保存してあるサンプルのうち、40サンプルに対する解析がほぼ終了しており、現在は各種臨床情報や、過去にそれらのサンプルに対して行った遺伝子変異データなどを集め、RNA解析によって得られた遺伝子発現量のデータとの関連を調べている。
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Strategy for Future Research Activity |
中枢神経原発悪性リンパ腫お腫瘍細胞と腫瘍以外の細胞をセルソーターによって分離した上で、10XGenomicsを利用したシングルセルRNAシーケンスを行うことで、特定の発現プロファイルをとる微小環境細胞の分布をシングルセルレベルで明らかにする。当院における年間のPCNSLの新規発症症例数が12~15症例程度であるため、これらの新鮮なサンプルを使用したRNAシークエンスは年間で5症例程度を見込んでおり、同時にこれらの細胞分画についてはPCNSLでの高頻度に変異が見られる30遺伝子について変異解析を行い、変異の結果と微小環境細胞の分布を調べる。
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