2019 Fiscal Year Research-status Report
関節リウマチにおける組織に蓄積するナトリウムイオンの機能解明
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19K17889
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
峯岸 薫 横浜市立大学, 医学研究科, 客員研究員 (40616877)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 23Na-MRI / 関節リウマチ |
Outline of Annual Research Achievements |
医療用MRIは生体をおもに構成する水素原子核(1H)を画像化しており、それ以外の13C 、31P 、23Naなどに関しては、研究レベルでは画像化が行われているが、臨床診断には用いられていない。しかしながら、近年の高度先進技術開発により、臨床用の3T超高磁場MRI装置が薬事許可され既に臨床応用されるようになり、専用コイルやソフトウエアの開発が進んだことで、本研究に使用する23Na-MRIも短時間で解像度の高い画像が得られるようになってきた。我々の方法では、23Na-MRIの撮影時に、濃度の異なるNaCl溶液を満たしたキャリブレーションチューブを同時に撮影することに成功しており、専用ソフトを用いて画像解析を行うことで、組織に蓄積しているNa+の定量化が可能となった。これまでに行った23Na-MRIを用いた臨床研究により、皮膚および筋肉のNa+量には、男女差があり、女性よりも男性の方がNa+含有量が高いということが示されている。また、高齢になるほ皮膚および筋肉のどNa+量が高くなることも示されており、我々がシンガポールで約100例を対象として行った検討においても、同様の結果が示された。 リウマチ性疾患、特に関節リウマチ(RA)の類縁疾患であるリウマチ性多発筋痛症やRS3PE症候群などでは、臨床的に「炎症性浮腫」という病態にしばしば遭遇するが、ステロイドなどの抗炎症治療に反応し、炎症の鎮静とともに消退するが、局所の電解質動態は明らかにされていない。本研究では、23Na-MRIを用いた臨床研究と動物実験による基礎研究を行うことで、皮膚組織Na+上昇がRAにおける滑膜炎活動性の上昇などと関連するかを検証していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は23Na-MRIを用いた臨床研究を進めることができ、健常人のデータを蓄積することができた。この結果をもとに、2020年度は、RA患者での検討を実施し、関節炎モデルマウスを用いた検討も実施していく。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、RAを対象とした23Na-MRIを用いた臨床研究を実施していく予定である。また、現在、マウス関節炎モデルの解析のための準備を進めており、Na+代謝とRAの病態との関連を調べ、組織に蓄積するNa+がRAを増悪させるメカニズムおよび心血管系へ与える影響を同定していく。
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Causes of Carryover |
2019年度は、RA分類基準を満たす新規に抗リウマチ薬を開始する患者および健常人を対象とした臨床研究の実施を予定していた。健常人のデータは蓄積し、統計学的解析も実施できたものの、RA患者での解析が未実施であり、血清マーカーの測定などに使用予定であった費用の繰越しが生じた。
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Research Products
(1 results)