2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K17923
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松村 康史 京都大学, 医学研究科, 准教授 (80726828)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 迅速遺伝子検査 |
Outline of Annual Research Achievements |
尿路感染症の主要な原因菌である大腸菌に対する主要な治療薬、フルオロキノロンと第3世代セファロスポリンへの耐性率が急増している。しかし、これら耐性菌感染症の迅速診断法が存在しないため、初期の適切な治療薬選択が困難であり、有効な治療の遅れや死亡率の上昇を招いている。本研究の目的は、尿路感染症における薬剤耐性菌:すなわちフルオロキノロン耐性大腸菌および第3世代セファロスポリン耐性菌を迅速・高精度・簡便・安価に検出する遺伝子検査法の開発と、その検査法の臨床的有用性評価である。本年度は、研究実施計画に従い、LAMP法を用いた検査法の設計、最適化、模擬検体を用いた性能確認を行った。 まず、LAMP法プライマーの新規設計と基礎実験を行い、フルオロキノロン耐性と関連する遺伝子変異(gyrA)、第3世代セファロスポリン耐性と関連する耐性遺伝子群(CTX-M-1グループ, CTX-M-2グループ, CTX-M-9グループ, CMY-2およびDHA-1遺伝子)を検出するLAMP法の実施手順を確立した。次に、尿とコントロール用菌株を混合した模擬検体(n=2)を用いて、プライマー配合比や反応温度等の条件の調整を行った。その結果、PURE法を用いたDNA抽出法を組み合わせることで、60分以内に60μlの尿検体から直接これらの耐性遺伝子が、各1反応で100%検出でき、また陰性検体が陰性と判定できることを確認した。これにより、迅速・高精度・簡便・安価で検査室や臨床現場で実施可能な遺伝子検査法が開発され、今後、臨床検体を用いた妥当性評価で性能が証明されれば、薬剤耐性菌に対する早期の適切な治療と感受性菌であった場合の適切な抗菌薬選択が可能となり薬剤耐性菌対策に貢献できる見込みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究実施計画の予定通り進行している。2019年度に基礎実験と模擬検体を用いた検査法の確立が終了し、倫理申請を行っている。2020年度は臨床的検討を行う予定となっており、倫理申請が承認されれば計画通り研究を実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
現在のところ順調に進行しているため計画変更等の必要はない。研究計画通りに進行させ、開発した迅速遺伝子検査が薬剤耐性菌対策に貢献できるよう推進する。
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Causes of Carryover |
消耗品が予定よりも安価に購入できたため。差額はわずかで、ほぼ予定通りの使用であるため、次年度も予定通り使用する。
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