2020 Fiscal Year Research-status Report
short-form GIPの糖代謝における役割の解明と創薬への応用
Project/Area Number |
19K17996
|
Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
竹田 安孝 旭川医科大学, 大学病院, 助教 (90431402)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | GIP / インクレチン / ELISA |
Outline of Annual Research Achievements |
GIP (1-30)のヒトにおける分泌動態と臨床的意義は十分に明らかではない。我々は世界に先駆けてGIP (1-30)に対する特異的ELISAを開発し、正常耐糖能者(NGT)における分泌動態について検証し、報告した(Physiol Rep; 8: e14469, 2020)。 本研究課題では、ヒトにおけるGIP (1-30)の分泌動態についてさらに解明するべく、本ELISAを用いて、NGT、prediabetes、2型糖尿病症例におけるGIP (1-30)の分泌動態を検証・比較した。また膵全摘後患者4例における末梢血中GIP (1-30)濃度を測定した。さらに本ELISAの開発時に作成したGIP (1-30)のC端であるGIP (24-30)に対するモノクローナル抗体(72A1)を用いて、ヒト膵組織の免疫染色を行った。 経口糖負荷試験におけるGIP (1-30)の分泌は、NGTに比し、prediabetes、2型糖尿病症例で低下傾向を示すこと、またGIP (1-30)はinsulinogenic indexと有意な正の相関を示すことを見出した。また膵全摘後症例における食後2時間のGIP (1-30)濃度は、3例は定量下限未満であったが、1例は定量し得た。すなわち膵以外の臓器に由来したGIP (1-30)の存在が示唆された。以上の知見について、第63回日本糖尿病学会年次学術集会(web開催)、第35回日本糖尿病合併症学会総会(web開催)で発表した。 ヒト膵組織の免疫染色では、膵島特異的に72A1の染色性が観察された。この変化はGIP (1-30) amideの添加により消失した。したがって、GIP (1-30)が膵由来、特に膵島由来であることが示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、種々の病態におけるGIP (1-30)の分泌動態を検証・比較し得た。またGIP (1-30)がinsulinogenic indexと関連することを見出し、臨床的意義の一端を明らかにした。さらに膵全摘後症例における血中GIP (1-30)濃度の検証結果および膵組織を用いた免疫染色の結果から、GIP (1-30)が基本的には膵由来であることが示された。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はヒト培養膵島等を用いて、GIP (1-30)の分泌促進因子および抑制因子の探索を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
研究は比較的順調に進行したが、コロナ禍も影響し、当初計画していた段階には至らなかった。それに伴い、当初購入予定であった各種実験試薬・器具等での使用が生じず、次年度使用額が生じた。加えて、同様にコロナ禍のため、国内および国際学会がいずれもweb開催となり、発表に際しての旅費の使用が生じなかったためと考える。
|