2022 Fiscal Year Research-status Report
short-form GIPの糖代謝における役割の解明と創薬への応用
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19K17996
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
竹田 安孝 金沢医科大学, 医学部, 講師 (90431402)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | GIP / インクレチン / ELISA |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はヒトにおけるGIP(1-30)の分泌動態ならびに臨床的意義を詳細に解明するとともに、GIP(1-30)およびその分泌調節因子を同定し、これらを応用した新規糖尿病治療薬の候補を探索することを目的として本研究を行う。 糖代謝異常におけるGIP(1-30)の分泌異常の有無を検証するべく、正常耐糖能者(NGT)、前糖尿病症例、2型糖尿病症例におけるGIP(1-30)の分泌動態を比較検証し、GIP(1-30)の分泌動態と関連する臨床指標について検証した。さらに、GIP(1-30)の由来臓器を検証するべく、膵全摘後患者における血中GIP(1-30)濃度を測定するとともに、ELISA開発時に作成したGIP(1-30)のC端(GIP(24-30))特異的なモノクローナル抗体を用いて、ヒト膵・小腸組織の免疫染色を行った。経口糖負荷試験(OGTT)におけるGIP(1-30)の分泌は、NGTに比し、前糖尿病、2型糖尿病で低下傾向を示した。OGTTにおける負荷前後のGIP(1-30)とその曲線下面積は、insulinogenic indexと有意な正の相関を示した。膵全摘後症例の食後ならびにクッキー負荷試験における血中GIP(1-30)濃度は基本的に定量下限未満であったが、定量し得た症例もみられた。ヒト膵島においてGIP(24-30)の染色性が観察され、これはglucagonの染色性と一致した。GIP(24-30)の染色性は非糖尿病症例に比し2型糖尿病症例で低下していた。膵のみならずヒト小腸においてもGIP(24-30)の染色性が観察された。 以上より、GIP(1-30)の分泌が耐糖能異常を有する症例で低下している可能性があること、またin vivoにおいてもインスリン分泌と関連することが明らかとなった。また、GIP(1-30)が膵α細胞のほか小腸にも由来している可能性があることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
数年にわたるCOVID-19の流行により、臨床業務ならびにそれと関連した業務へのエフォートが増加し、本研究課題を実施するための研究時間が十分に確保出来なかった。そのため、当初予定していたヒト膵島やヒト小腸培養細胞を用いたGIP(1-30)の分泌調節因子を探索するためのin vitroでの実験が実施出来なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、ヒト膵島やヒト小腸培養細胞を用いて、GIP (1-30)の分泌促進因子および抑制因子の探索を行う予定である。
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Causes of Carryover |
COVID-19の流行に伴う臨床業務および関連業務のエフォート増加により研究を実施するための時間を確保できず、当初計画していた研究段階には至らなかった。 それに伴い、購入を予定していた実験試薬・器具等での使用が生じず、次年度使用額が生じた。加えて前年度と同様に旅費を伴う学会参加がなかったことも大きな要因と考える。 今後は当初計画していた実験を行う際の試薬・器具の購入や学会での成果報告に際しての旅費、また論文投稿の際の掲載料等での使用を予定している。
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