2019 Fiscal Year Research-status Report
POU1F1を用いた深部イントロン変異の病原性評価法の確立
Project/Area Number |
19K18017
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
秋葉 和壽 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 分子内分泌研究部, リサーチアソシエイト (10649974)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | スプライシング / 深部イントロン / 下垂体 / POU1F1 / 成長 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は深部イントロンのレアバリアントの病原性を評価することである。そのモデルとしてPOU1F1c.143A>Gに着目し、(1) POU1F1遺伝子全長をクローニングした人工遺伝子と培養細胞を用いた解析系、(2) c.143A>Gバリアントを導入したモデルマウスを用いた解析系と言う2つの手法を用いて解析を試みる。これによりエクソントラッピングベクターなどの従来の方法では解析困難であった深部イントロンのレアバリアントの解析手法を提示することを目標としている。 平成31年度は、(1)においてすでに作成していたp.FLAG.POU1F1野生型ベクターに対し、in silico解析にて分枝部位候補として挙がってくる7つの候補塩基(c.143-95A, c.143-74A, c.143-52A, c.143-46A, c.143-45A, c.143-32A, c.143-30A)をそれぞれA>Gと改変したベクターを作成した。これら変異ベクター7 種とc.143A>G変異、野生型の計9種を比較したタンパク質解析(ウェスタンブロッティング解析)ではc.143A>G変異でのみエクソン2のスキップと想定される結果が確認された。(2)に関しては、一塩基置換(c.143A>G変異)を持つマウスを1ライン得ることに成功した。さらに、陽性コントロールとして計画していたKOマウスとしてゲノムDNA上でエクソン2を欠損したマウスを1ライン得ることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では深部イントロンのバリアントの解析手法の提案を目指している。平成31年度は初年度であり、2つの手法ともそのベースとなる解析の系の確立を目標に研究を行った。具体的には培養細胞系では用いる改変ベクターを新たに7種類作成し、それらを用いたタンパク質の評価を行った。モデルマウスの解析系では律速段階と想定していた目的とする一塩基置換を得ることに成功した。以上から、本研究は概ね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度に(1)(2)いずれも基盤となる解析系を確立することに成功した。令和2年度以降は、(1)の培養細胞を用いた系ではRT-PCR解析によって得られるmRNAの解析、エクソン領域の変異を有するベクターの構築を試みる。(2)のモデルマウスを用いた系ではF2以降のヘテロマウス、ホモマウスを解析することで、成長率、下垂体の大きさ、下垂体でのmRNAの評価を行う予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度の研究は、培養細胞実験及びモデルマウス作製に必要な消耗品の購入を予算の範囲内で計画に沿って実行することができた。当初、当該年度に予定していたRNAを次年度に回したためそれに関連した消耗品の支出が不要となった。次年度以降、RNA解析、マウスの解析に有効活用するため、次年度使用額とした。研究費は、主に細胞培養、マウス飼育、分析関連の各種試薬・消耗品並びに研究成果発表のための旅費などに充てる。
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