2021 Fiscal Year Annual Research Report
POU1F1を用いた深部イントロン変異の病原性評価法の確立
Project/Area Number |
19K18017
|
Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
秋葉 和壽 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 分子内分泌研究部, リサーチアソシエイト (10649974)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | POU1F1 / スプライシング / アイソフォーム / 下垂体機能低下症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、これまで解析が困難であった深部イントロンのレアバリアントの評価を新しい手法を用いて行うことであった。我々は、先天性複合型下垂体機能低下症患者で同定されたPOU1F1 c.143-83A>Gを評価対象として選択した。本対象はは以下の2点で解析困難であった。第1点として、上述の深部イントロンのバリアントであること、第2点として、下垂体に特異的に発現する遺伝子であるため、ヒトでの検体採取が困難であることである。このレアバリアントの病原性評価のために、①遺伝子改変マウスを用いたモデル生物実験、②POU1F1の全長を再現した人工遺伝子を用いた細胞実験、の2つの手法を併用した。モデル生物実験から、本バリアントが下垂体の低形成(野生型に比して40%の重量)、血中のIGF1の低下(測定感度以下)、成長障害(野生型の35%の体重)を引き起こすことを示した。下垂体細胞のトランスクリプトーム解析により、成長ホルモン、甲状腺ホルモン、プロラクチン産生細胞のマーカー遺伝子の発現量低下を確認した。さらにPou11f1のRT-PCR-NGS解析により、Pou1f1のアイソフォームの割合の異常を伴っていることが明らかとなった。我々は、本バリアントがスプライシングに重要な分枝部位であると仮説を立てた。そこで分枝部位候補、それぞれの塩基置換をおこなった人工遺伝子を作成した。この人工遺伝子を培養細胞に発現させ、産生されるPOU1F1のmRNAを解析した。結果は、本バリアントのみがアイソフォームの割合の異常を伴った。以上から、本バリアントが分枝部位の破壊を伴い、スプライシング異常を引き起こしたことが判明した。本研究において作出されたモデルマウスはPou1f1の機能解明、特にアイソフォームの機能解明に有用なツールとなると考える。また、細胞実験で用いた全長再現系は他の遺伝子にも応用可能である。
|
Research Products
(1 results)