2021 Fiscal Year Research-status Report
腫瘍微小環境から捉えたエリブリンによる新たな乳癌治療戦略の検証
Project/Area Number |
19K18046
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
後藤 航 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 後期臨床研究医 (20824668)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 乳癌 / エリブリン / 免疫微小環境 / ホルモン療法耐性乳癌 / エストロゲン再発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
エリブリン耐性乳癌における治療戦略の確立のため2種類のエリブリン耐性乳癌細胞株を作製し、その耐性機序の検証を行った研究休内容はAnticancer research 39: 4031-4041, 2019に掲載された。 乳癌に対する新たな治療選択肢の検討に関連して、鉄キレート剤とエリブリンとの併用療法の有用性を基礎実験で検証し、鉄キレート剤が誘導した低酸素・血管新生・免疫寛容作用がエリブリンにより抑制され、更なる腫瘍縮小効果を得ることを示し、その研究内容はBMC Cancer 20(1): 1215, 2020に掲載された。 さらに絶対的リンパ球数(ALC)がエリブリン治療患者の免疫力を示す可能性より、エリブリン投与中のALC測定が、腫瘍縮小効果を評価するうえで腫瘍マーカーとして有用である可能性をAnticancer research 42(2): 939-946, 2022で報告した。 また、RT-PCR法で低酸素耐性Luminal株のESR1発現が減少すること、さらにエリブリン投与でESR1が再上昇することを確認した。Western blot法により蛋白レベルでもエリブリン投与によりエストロゲン受容体関連蛋白が上昇することを示し、Xenograftでもエストロゲン受容体が再発現することを確認した。低酸素耐性Luminal株はタモキシフェン(TAM)の効果が減弱するが、エリブリン追加投与によりTAMの腫瘍抑制効果が再度認められることをIn vitro、In vivoともに示し、2022年のSan Antonio Breast Cancer Symposiumにて発表した。この発表により2021 JBCS Young Investigator Grant for SABCSを受賞し、2022年の乳癌学会で授賞講演を発表予定である。加えて、現在この研究内容の論文を作成中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「エリブリン耐性乳管細胞株における新たな治療戦略の確立」および「乳癌に対するエリブリンの新たな治療選択肢の検討」という2大テーマを掲げ、エリブリン関連論文3編および、国際学会のでの発表という形で一定の成果を挙げている。 特にホルモン療法耐性獲得後の乳癌治療は近年非常に大きな考察テーマとなっており、今回の研究内容はその一助となるものである。国際学会での発表は終了しており、残るは論文化のみである。 以上より現在までの進捗状況は概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
ホルモン療法耐性獲得乳癌に対するエリブリンの有用性を示した研究成果の論文を現在作成中である。 今後は論文submit後のrevice状況に応じて追加実験を行っていく。 また、2022年の乳癌学会で国内学会での発表を行う。
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Causes of Carryover |
現在、仮説の基づいた実験は終了しており、研究結果の論文を作成中である。 次年度使用額は論文投稿費およびrevice後の追加実験に使用する予定である。
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