2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K18076
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
長瀬 勇人 弘前大学, 医学部附属病院, 助教 (10750862)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 膵癌 / 間質 / ヒアルロン酸 / 化学療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
in vitroにおいて4-methylumbelliferone(以下MU)は膵癌細胞のヒアルロン酸合成酵素および分解酵素の発現に影響を及ぼすことなく、ヒアルロン酸(以下HA)の合成を低下させた。またHAの細胞膜上の受容体であるCD44およびRHAMMの発現にも影響を及ぼさなかった。MUは細胞周囲のHAを減少させることで、HAと受容体の結合による細胞内へのシグナルを抑制し、抗腫瘍効果を発揮する可能性が示唆された。また、健常人よりγδTcellを分離培養し、膵癌細胞への細胞障害活性を検討したところ、MUと併用することで細胞障害が増強された。 in vivoにおいてはヒト膵癌細胞を移植した免疫不全マウスを用いた実験を行い、MUの抗腫瘍効果(腫瘍縮小、生存率向上、腫瘍組織内における抗癌剤濃度上昇、γδTcellの腫瘍内への浸潤促進作用)の再現性および統計学的にその有効性を確認した。また、過去の報告にてわれわれはMUが既存の抗癌剤である5-FUの抗腫瘍効果を増強することを報告した。この結果から、現在の膵癌治療のkey drugであるNab PaclitaxelとMUの併用療法について検討中である。また、現時点で実臨床での効果が実証されていない免疫療法においても、MUを併用することで効果が得られる可能性を追求し、in vivoでの検討を継続して行っている。膵癌に対する化学療法の効果はいまだ不十分であるが、本研究においてMUが抗癌剤の抗腫瘍効果を増強する薬剤として有用であることを実証できると考える。
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