2023 Fiscal Year Research-status Report
吸入麻酔薬の血中および脳内濃度の簡便な測定法の開発と臨床への応用
Project/Area Number |
19K18231
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
長谷 由理 北海道大学, 大学病院, 助教 (20626121)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 吸入麻酔薬 / プロポフォール / 麻酔薬濃度 / Na,K-ATPase活性 / Ca,Mg-ATPase活性 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、吸入麻酔薬(イソフルラン、セボフルラン、デスフルラン)によるウサギおよびラット脳内Na,K-ATPase活性に対する影響について、開放系および閉鎖系での測定系で得られた結果をもとに論文作成中であり、次年度中に投稿予定である。 近年麻酔薬の作用点として脂質ラフトが注目されている。脂質ラフトに存在する酵素であるNa,K-ATPase及びCa,Mg-ATPase活性に対するプロポフォールの作用に関する研究を行い、「Neuro-2a細胞のATPase活性に対するpropofolの作用」として、第51回日本歯科麻酔学会学術集会(長崎)においてポスター発表を行った。 Neuro-2a細胞のNa,K-及び Ca,Mg-ATPaseはいずれも脂質ラフトに存在する酵素が含まれるミクロソーム分画に回収された。Neuro-2a細胞のNa,K-及び Ca,Mg-ATPase活性と、比較のためにラット脳から精製したNa,K-ATPase活性に対するプロポフォールの作用を検討した。いずれの活性も、プロポフォールの濃度に依存して抑制された。50%活性阻害濃度IC50は、Neuro-2a細胞のNa,K-及び Ca,Mg-ATPase活性およびラット脳Na,K-ATPase活性に対して、それぞれ類似した濃度を示した。 吸入麻酔薬による抑制作用はNa,K-ATPase活性よりもCa,Mg-ATPase活性において顕著に強いという報告がある。しかし、プロポフォールの場合は両ATPase活性を類似した濃度で抑制したことより、吸入麻酔薬と静脈麻酔薬では両ATPaseに対する作用が異なる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
医局の新体制のもと臨床業務に従事する時間が長く、研究時間の確保が困難であった。可能な範囲で追加実験を行いつつ、論文執筆を進めており、研究のまとめの段階に入っている。
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Strategy for Future Research Activity |
吸入麻酔薬(イソフルラン、セボフルラン、デスフルラン)のウサギおよびラット脳内Na,K-ATPase活性に対する抑制作用について、2つの測定系(開放系および閉鎖系)に分けて論文を作成して、公表する予定である。また、NMR測定に基づく水溶液中の吸入麻酔薬の濃度決定についても具体的に報告する予定である。 吸入麻酔薬と静脈麻酔薬ではNa,K-ATPase活性とCa,Mg-ATPase活性に対する作用が異なるのか否かという点について、Ca,Mg-ATPaseの精製度を高めて実験を行うことにより研究を進める予定である。
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Causes of Carryover |
実験に必要な物品は、すでに歯科麻酔学教室実験室に備わっているものを主に使用したため、次年度使用が生じた。次年度での論文の英文校正費用や投稿費用に使用する予定があり、計画的な執行を進めている。
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